尾張西部医療圏初となる「TAVI(タビ・経カテーテル大動脈弁留置術)手術」を実施しました

心臓弁膜症疾患のなかに大動脈弁狭窄症というものがあります。これは、心臓の左心室と大動脈の間にある弁(大動脈弁)の開きが障害され、全身に血液を送り出しにくくなる状態のことです。多くは加齢や動脈硬化が原因といわれています。
大動脈弁狭窄症は軽度なものでは症状が現れにくく、他の病気の検査などで見つかる場合がほとんどです。重症になると狭心症(胸の痛み)、失神、心不全症状(息切れなど)が現れ、治療を行わないと予後不良です。一般的な生命予後は、狭心症が現れると5年、失神が現れると3年、そして心不全の場合は2年といわれており、突然死の危険性を伴います。
高齢化がすすんだ現在では、80歳台になって重度の大動脈弁狭窄症が見つかることが少なくありません。

重度の大動脈弁狭窄症の治療は外科的手術によって大動脈弁を人工弁に置き換える方法(大動脈弁置換術)で行われます。しかし手術のために心臓を止める必要があり人工心肺装置を使うことなどが体への大きな負担となります。このため高齢の方や他の病気を患っている方では手術が無理だと判断される場合が多くありました。

TAVI(タビ)は大動脈弁をカテーテルと呼ばれる医療用の管を用いて人工の弁と置き換える治療法です。心臓を止めずにできるだけ体への負担の小さな(低侵襲の)大動脈弁狭窄症の新しい治療方法であり、外科的手術に耐えられないと判断された高齢の方などにも可能となります。
TAVIとは、Transcatheter Aortic Valvelmplantation の略語で、日本語では「経カテーテル大動脈弁留置術」または「経カテーテル大動脈弁植え込み術」と訳されます。
同じ治療方法はTAVR(タバ):Transcatheter Aortic Valve Replacement 「経カテーテル大動脈弁置換術」と言われることもあります。

全国で施行可能な施設が増えているなか、名古屋と岐阜に挟まれた西尾張地方には認定施設がありませんでした。当院では2018年から準備をすすめ、2019年3月の施設認定の現地調査を経て、同年5月に認定施設となることができました。2019年6月28日に第一例目の患者さまの治療を施行することができました。合併症もなく、翌日から食事も開始し歩行訓練も開始しています。

この治療は循環器内科や心臓血管外科といった従来の科の枠組みでは治療することはできず、循環器内科、心臓血管外科、血管外科、麻酔科の医師や看護師、放射線技師、臨床工学士、理学療法士、検査技師など多職種からなるハートチームという専属チームが治療にあたります。このチーム医療は急にやろうとしてもできるものではなく、長年にわたり連携をとりお互いに信頼して治療にあたってきた専門家同士が集まり同じ意識をもち治療にあたることでうまく機能するものと考えます。そうしたなかで一宮市立市民病院においてはスタッフに恵まれておりチーム発足後も支障なくチームが機能し、ありがたい限りです。

今後は症例を重ねていき、経験を蓄積し安定した医療をご提供できるよう研鑽してまいります。
これからも市民の皆様やクリニックの先生方からのご信頼をいただき、地域医療を支える病院としてお役に立てるよう努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。