院長ごあいさつ
一宮市立市民病院のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。 2023年4月1日から松浦前院長の後任として一宮市立市民病院院長に就任いたしました志水清和でございます。病院を代表して、皆さまにごあいさつ申し上げます。
当院は1936年に一宮市診療所として開設されました。1945年には戦火で全焼してしまいましたが、市の施設を利用し臨時診療を続けていたそうです。「どんな状況でも、地域医療のためにできることをする」。この思いが地域に根付いた当院の根幹であり、職員一同の矜持でもあります。コロナ禍においても、多くの職員が力を合わせ、さまざまな難局を乗りこえてきた原動力は、当時の先達と同様の思いであったと感じております。開設以来、80年以上にわたり、地域の皆さんに支えられ、ご指導をいただきながら、この地で診療を続けてまいりました。当初は35床であった当院も、今では標榜科29診療科、病床数594床、医師数約190名、看護師数約710名など、総職員数1280名の病院にまで発展することができました。
また、指定医療機関として、
- かかりつけ医を支援し地域医療の確保を図る「地域医療支援病院」
- 専門的ながん医療の提供、地域のがん診療の連携協力体制の構築、がん患者に対する相談支援および情報提供を行う「地域がん診療拠点病院」
- 母体又は児におけるリスクの高い妊娠に対する医療など周産期医療を行う「地域周産期母子医療センター」
- 災害発生時に災害医療を行う地域の医療機関を支援する「災害拠点病院」
- 重篤な救急患者を24時間体制で受け入れ高度な診療機能をもつ三次救急を担う「救命救急センター」
など、多くの認可を受け、西尾張地区の基幹病院としての役割を期待されています。
松浦前院長の時代には、南館C棟の建設にあたり、緩和ケア病棟の開設に加え、ハイブリッド手術室(手術室内に心血管X線撮影装置を設置したもの)や手術支援ロボットを導入し、高度医療のさらなる充実を図りました。これからも、がん治療や循環器疾患などへの高度医療、COVID19などの新興感染症の対応、災害医療や救急医療、そして緩和医療など、当院ならではの幅広いオールラウンドな診療体制の充実を図り、質の高い医療の提供に努めてまいります。
「Withコロナ」の時代を迎え、これまで停滞していた事柄は、医療の現場でも動き始めます。医師の働き方改革や団塊の世代が75歳以上を迎える2025年問題など、病院を取り巻く環境は大きく変化しています。これからは、地域の病院や医療機関が役割分担(機能分化)し連携することで、効果的かつ効率的に安定した医療を提供することが求められます。この地域医療構想を基幹病院として推進するべく努めてまいります。そのためには、基幹病院として、より一層の信任を頂けるよう、当院も大きな変革を求められるでしょうが、謙虚に、ひるむことなく、立ち向かってまいります。
日本近代医学の祖である緒方洪庵の書き記した「扶氏医戒之略」の戒めの一つにこんな文章があります。「不治の病であっても、その病苦を和らげることは医師(医療従事者)の努めである。たとえ、救うことが出来なくても、患者を慰める(寄り添う)ことを仁術という。それらを放置し顧みないことは人道に反する。」医学が目覚ましい進歩をとげ、医療の現場が変化し、我々を取り巻く環境が変わったとしても、医療の本質は不変です。本質を見失うことなく、質の高い医療を提供し、健全な病院経営に取り組むことで、地域の皆さんに愛され、信頼され、期待に応えられる病院であり続けられるよう、職員一同精進してまいります。