医療の質の向上のために
私たちは地域のみなさんに良い医療を提供できるよう「医療の質」の向上を目指しています。
病院は高い専門性を持つ様々な職種の集合体なので、「医療の質」を向上させるには、関連する臨床データを客観的に評価・分析するための幅広い知識、病院の課題を発見して分析できるスキル、そして質改善活動を推進するマネジメント能力が必要です。
一宮市立市民病院では、日本医療機能評価機構の認定を受けた医療クオリティマネジャーを委員長とする「医療の質向上委員会」が中心となって、継続的な質向上活動に取り組み、地域の皆さんが安心安全に暮らすことができる社会の実現を目指しています。当院における質改善活動をご紹介します。
クオリティマネージャー 阪井 満
-
病院機能評価の活用〜「医療の質」の向上を目指して〜
病院は、理念達成や地域に根ざし、安全・安心、信頼と納得の得られる質の高い医療サービスを効率的に提供するために、改善活動を推進することが求められています。質の高い医療を効率的に提供するためには、病院の自助努力が最も重要ですが、より効果的な取り組みとするためには、第三者による評価が必要です。 日本医療機能評価機構が行う病院機能評価は、第三者の立場で、組織全体の運営管理および提供される医療について評価を行い、病院の位置付けや問題点を明らかにします。病院機能評価では次のことが求められます。
- 病院組織の運営と地域における役割
- 患者の権利と安全の確保
- 療養環境と患者サービス
- 診療の質の確保
- 看護の適切な提供
- 病院経営管理の合理性
審査は5年に一度ですが、当院では指摘を受けた課題の解決に切れ目なく継続的に取り組み、病院体制の一層の充実や医療の質の向上に役立てています。 これまで病院機能評価の認定を4回受けており、2019年の審査では、「患者・家族の倫理的課題等を把握し、誠実に対応している」と「救急医療機能を適切に発揮している」の2項目で、S(秀でている)評価を得ています。 今後とも「地域の皆さんに愛され、信頼され、期待に応えられる病院」を目指すという基本理念の下、職員一同、患者さん中心の視点に立ち、さらなる医療の安全確保と質の向上を図りながら、地域医療に貢献すべく努力していきます。
臨床指標・質指標の活用〜「医療の質」を可視化しよう〜
病院における「医療の質」を知るうえで重要なバロメーターとして臨床指標や質指標があります。これらの指標を可視化して共有・公表することで、他病院と比較したり、定期的にデータの推移を追うことができます。個々の病院は規模も異なり役割も様々なので、これらの指標のみで病院の質の良し悪しは評価できませんが、病院の特色や立ち位置を知るうえでとても参考になります。 当院は日本病院会のQIプロジェクトや日本医療機能評価機構の臨床指標可視化プロジェクトに参加しています。当院の臨床指標や質指標についてはこちらをご参照下さい。
PDCAサイクルの活用〜継続的な質改善活動を目指して〜
日々の診療の中で、改善しなくてはならない課題に気づかされることがあります。私たちはこうした課題に、切れ間なく継続的に取り組みたいと考えています。そのキーワードは、PDCAサイクルです。
これは、P=Plan(計画)→D=Do(実行)→C=Check(評価)→ A=Act(改善)のサイクルを繰り返すことで継続的な改善を目指す手法です。 私たちは、PDCAサイクルによって改善を目指す文化を病院に根付かせるよう、様々な啓蒙活動を行なっています。 また、病院は高度技術を持った専門的な職種の集合体なので、時に職種間の関係が希薄になったり、立場の違いから壁ができたりして、伝わるはずの情報が伝わらないなどの問題が起こりやすいと言われています。 そうした「縦割り構造」に「横糸を張る」のが私たちの委員会です。委員会には、医師、看護師、薬剤師はもちろん、事務職も含むあらゆる職種が参加しており、職種を超えた組織横断的な活動につなげています。