クリニカルパス
クリニカルパスとは
クリニカルパスとは、ある病気の治療や検査を受けられる患者さんの入院中のスケジュールを表にまとめたもので、当院には約300種類のクリニカルパスがあります。クリニカルパスにはいくつかの目的がありますが、患者さんの診療への理解を深めていただき積極的に参加していただくこともその一つです。例えば、手術を受けられる患者さんが、手術後いつから食事が取れるようになるのか、いつからお風呂に入れるようになるのか、何日間ぐらいで退院できるのか、、、、。入院される患者さんの多くは、入院生活についてはわからないことばかりなのに、誰に聞いていいのかもわからなくてお困りではないでしょうか?
クリニカルパスには、医療者用と患者さん用があります。患者さん用クリニカルパスには、患者さんが入院してからの食事や処置、検査・治療、そのための準備、退院後の説明等が日ごとに詳しく説明されています。
私たちは、これから不安いっぱいで入院される患者さんに私たちの行っている医療をわかっていただき、少しでも安心して、そして一緒に力を合わせて病気を克服していただきたいのです。もちろん、医療者間で思いを同じくして診療を行ううえでもクリニカルパスはとても有用です。
当院では、クリニカルパスを積極的に導入することで、患者さんを中心とするチーム医療の実現、安全かつ質の高い医療の提供を目指しています。ただし、すべての患者さんにクリニカルパスが使用できるわけではありません。病気の状態や患者さんの状態によってはクリニカルパスが使用できないこともありますのでご了承ください。
【クリニカルパス 例】
当院のクリニカルパス
各診療科で代表的なクリニカルパスを掲載しています。
クリニカルパス一覧
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当院のクリニカルパスの目的
1.医療を標準化する
医療の標準化とは、病気に対し科学的根拠(エビデンス)に基づいた処置や治療を、一定の質を保ちながら行うことです。標準化されていない医療では、皆が思い思いの医療を行うので、医療の質にばらつきがあります。クリニカルパスを使用することにより、エビデンスに基づいた質の高い医療ができ、無駄な検査や投薬を減らすことも可能です。
2.情報を共有し、チーム医療を実現する
クリニカルパスは、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師、放射線技師、栄養士、事務員などいろいろな職種が話し合って作成します。できあがったクリニカルパスは、各専門分野からの意見を元にエビデンスに基づき作成され、チーム医療を目に見える形にしたものです。
3.患者さんの医療参加を推進する
クリニカルパスを用いた説明により、患者さんは入院中のスケジュールを把握することができ、より安心して治療や検査を受けられます。さらに病気や治療について理解を深め、医療者と入院経過を共有することができます。
4.医療を効率化する
クリニカルパスを使用することで、不必要な検査や投薬などを減らすこともでき、入院日数の短縮や医療費の削減につなげることが可能です。
5.医療安全の推進に役立てる
クリニカルパスでは、検査・処置・治療のオーダー内容や、看護ケアの内容を複数の医療スタッフが確認することで、指示漏れやチェック漏れの防止に役立ちます。これらの実現で患者さんは適切な医療を効率的かつ安全に受けることができます。
6.持続的なバリアンス評価により医療ケアの質を向上する
クリニカルパスでは、バリアンス(スケジュール通りいかないこと)がどれぐらい発生したのか集計され、定期的な見直しを行っています。バリアンスの評価によりクリニカルパスはさらに改善されるので、質の高い安全な医療を確保し、さらなる向上につなげることができます。