• 研修医サイト

  • 看護局サイト

  • 一宮市立
    木曽川市民病院

診療コラム

手術支援ロボット(ダヴィンチ)による泌尿器科手術

泌尿器科部長 初瀬 勝朗

泌尿器科領域のがんの手術では傷が小さく体の負担が少ない腹腔鏡下手術が普及しています。最近では手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術が広がってきています。本邦では、2012年より前立腺癌に対するロボット支援前立腺全摘除術が保険適用となりました。当院では2018年に手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入しました。また2018年には、腎臓癌に対するロボット支援腎部分切除術が適用となり、ロボット手術の有用性から適応疾患も増えて使用の機会は増加しています。一宮市立市民病院では以下のロボット支援手術を行っています。

ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)

前立腺は骨盤の一番奥にあり、術野を確保しにくい部位に存在します。従来の開腹手術や腹腔鏡下手術に比べ、ロボットを用いた手術では近接した拡大視野で、繊細な器具の動きや手振れ補正によって、組織の剥離が正確に行えます。血管や神経周囲の剥離が丁寧に行えるため、術中出血量の減少、術後の合併症である尿失禁の減少や男性機能の温存にも効果的です。実際に術後尿失禁の程度は開腹手術よりも軽減されており、パッドの利用枚数は減少しています。また傷口が小さく術後の回復も早いため、患者さんには優しい治療です。局所前立腺癌に対する手術は、ロボット支援手術下がすでに主流になっていると言えます。

ロボット支援腎部分切除術(RAPN)

腎臓癌に対して、以前は患側腎ごと摘出する腎摘除術が主体でしたが、近年は可能な限り腎臓機能を温存する目的で、腫瘍周囲のみ摘出する腎部分切除術を行う傾向にあります。腎部分切除術の適応は、腫瘍の取り残しがなく安全に行える、7㎝以下の腫瘍が主になります。

ロボットを用いることで、三次元で立体的な拡大視野で行うことができ、腫瘍の位置を正確にとらえながらより繊細な手術を行うことができます。人間の手の関節以上に自由度の高いロボットアームを用いることで、細やかで繊細な剥離・切開操作や腫瘍を摘出した後の縫合を丁寧かつ速やかに施行できます。これは術者のストレスを軽減するとともに、手術を受ける患者さんの負担軽減にも繋がるものと考えています。

ロボット支援根治的腎摘除術(RARN)

腫瘍が大きく(7cm以上)や腎臓の中心部に近く位置する腫瘍に関しては、根治性や合併症を考慮し腎摘除術を選択することがあります。その場合でも、開腹手術に比して小さな切開で手術を行うことができます。

診療科・部門のご案内

サイトマップ