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    木曽川市民病院

ドクターインタビュー

患者さんに寄り添ったリウマチ診療

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整形外科部長 花林 雅裕

一宮市立市民病院の整形外科・リウマチ科では外傷などの一般整形外科と並びリウマチ性疾患の診療に力を入れています。花林雅裕医師にその詳細について話を聞きました。

Q1, リウマチとはなんですか?

実は「リウマチ」と一口に言っても、何を指しているかによってその意味はさまざまです。温泉で見かける効能表をご存じでしょうか。その中に「リウマチ性疾患」や「関節リウマチ」などといった言葉を目にしたことがあると思います。リウマチ性疾患とは、関節・筋肉・骨など運動器系の痛みを伴う病気の総称であり、病気の数は100種類以上にも上ります。軟骨の老化などが原因で膝関節に痛みや水が貯まる変形性膝関節症も、リウマチ性疾患の一つです。関節リウマチもリウマチ性疾患の一つですが、一般的に「リウマチ」という場合は、関節リウマチを指すことが多いです。

Q2. リウマチ科ではどんな症状に対して診療をしていますか?

リウマチ性疾患のうち、関節や靭帯・腱付着部、滑液包と呼ばれる部分などに炎症を起こしている病気を診療対象としています。病気の種類によって原因や炎症の部位が異なり、症状もさまざまですが、手指のこわばり感、関節の腫れ・痛み、筋肉の痛み、安静時に増悪する背部・腰部・臀部の痛みなどがあります。具体的な病名では、関節リウマチ、強直性脊椎炎・乾癬性関節炎などの脊椎関節炎、掌蹠膿疱症性骨関節炎などのSAPHO症候群、リウマチ性多発筋痛症といった、運動器の炎症を伴う疾患を対象としています。これらの病気の診断をするほか、症状に応じて薬物治療、装具療法、手術を行います。

Q3. 手のこわばりや関節の腫れ・痛みは関節リウマチでしょうか?

上記の症状を伴う病気としては、関節リウマチが有名ですが、それ以外にも同じ症状を伴う病気がたくさんあることから、治療開始の前に正しい診断が求められます。診断には詳細な症状の聴取、診察、採血、画像所見が必須です。また、整形外科領域で似たような病気もありますので、リウマチ性疾患の知識に加えて整形外科疾患の知識も必要です。まずは整形外科を受診していただき、より専門的な診断・治療が必要な場合は、適宜リウマチ科で診療を行います。直接リウマチ科に紹介された場合でも、整形外科専門医がリウマチ診療していますので、ご安心ください。関節リウマチは膠原病(※1)の一種で、ほかの膠原病でも似たような症状を伴うこともあります。適宜他科と協議し、正確な診断を心がけています。

(※1)膠原病は、皮膚や関節、内臓などの結合組織(さまざまな組織の間を満たして互いに結び付け、支えている部分)に炎症を起こし、臓器に障害を起こす病気の総称です。海外では結合組織病と呼ばれたりもします。膠原病では関節の痛みが高頻度に見られることから、膠原病のほとんどはリウマチ性疾患です。

Q4. リウマチ診療で心がけていることは何ですか?

関節リウマチの薬物療法は飛躍的に進歩し、関節の損傷を長期にわたり防ぐことが期待できるようになってきました。その実現に向けて治療目標を定め、確実に治療を続けていくという考え方「目標達成に向けた治療(T2TTreat to Target)」が示されています。T2Tでは「臨床的寛解(※2)」を治療目標としますが、治療を受けるのは患者さん自身ですので、患者さんの視点や希望、取り巻く環境を無視することはできません。より良い治療を行うためには、医師を含めた医療従事者と患者さん双方が治療選択について話し合い、合意に至る必要があることから、限られた診察時間の中でも患者さんとのコミュニケーションを通して、治療に必要な情報を得たいと考えています。これは関節リウマチ以外の病気でも同じことです。そのため、患者さんご自身が確かな知識を身につけ、治療目標を共有し、積極的に治療に参加することが大切です。当院では日本リウマチ財団認定のリウマチケアナースも一緒に治療に加わり、患者さんのサポートをしています。

(※2)臨床的寛解とは病気の勢いが完全に落ち着いて進行が止まっている状態のこと。

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