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ドクターインタビュー

寄り添い、未来を見すえた糖尿病・内分泌診療

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糖尿病・内分泌内科部長 恒川 卓

日本の成人のうち約5人に1人が糖尿病または糖尿病予備軍と言われています。糖尿病はさまざまな合併症の原因となります。また内分泌疾患は橋本病やバセドウ病などの甲状腺疾患、原発性アルドステロン症などの副腎疾患など多岐にわたり気がつきにくいとされています。一宮市立市民病院の糖尿病・内分泌内科には多くの日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本甲状腺学会専門医および日本肥満学会専門医が在籍し、診療にあたっています。同科の取り組みや診療方針について恒川卓医師に話を聞きました。

Q1.なぜ「糖尿病・内分泌内科」なのでしょうか?

内分泌疾患というのはホルモンが多すぎたり少なすぎたり、働きが異常であるために起こる病気です。ホルモンは体の中に100種類以上ある情報伝達物質で、体の健康維持のために働いています。糖尿病と聞くと食べ過ぎたり太ったりすると発症するというイメージが強いと思いますが、実は膵臓(すいぞう)から出る「インスリン」という血糖値(血の中のブドウ糖)を下げるホルモンが「出ない」あるいは「効かない」ために血糖値が上がる病気です。その他のホルモンを産生する主な臓器としては、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺および副腎などがあります。また肥満は脂肪が過剰にたまった状態と定義されますが、これもレプチンという本来体重を減少させるホルモン作用の異常が主体と考えられています。ホルモンは目で見えませんから、私たちは目の前の患者さんのホルモンの作用を検査などを踏まえて想像しながら診療を行っています。

Q2.糖尿病診療について教えてください。

かなりの高血糖では「のどがかわく」、「尿が多い」、「食べているのに体重が減る」、「だるい、疲れやすい」などの自覚症状がでますが、糖尿病は初期症状がほとんどありません。そのため健康診断や血液検査、尿検査などで指摘されることも多く、なぜ無症状なのに病院に行かないといけないか理解しづらいかもしれません。しかし、糖尿病は早期から診断および治療を行うことで様々な合併症の発症や進展を抑えることができます。合併症としては、三大合併症(目、腎臓、神経)や動脈硬化症(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、足壊疽)などがありますが、当科では院内の各専門科、地域の医療機関と連携をとりながら質の高い医療を提供しています。

糖尿病の治療は食事、運動、薬物療法からなりますが、患者さんの病状や社会生活背景もふまえると一人一人最適な治療は異なります。そのため、当科では医師だけでなく看護師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士および薬剤師など多職種が、専門性を活かし患者さんとの対話を重視しながら支援していきます。

Q3.肥満症専門外来についても教えてください。

肥満(BMI 25 kg/m2以上)は現在成人男性の3人に1人、女性の5人に1人が該当しています。特に重度になってくると糖尿病や高血圧を始め様々な健康障害を発症します。当科では外科の先生が行う腹腔鏡下スリーブ胃切除術(減量・代謝改善手術)を中心として、肥満症の検査や内科的治療を行い、患者さん自身の「良くなりたい」という思いと行動を多職種からなるチームでサポートしていきます。

Q4.内分泌疾患の診療について教えてください。

内分泌疾患を調べるには、ホルモンの多寡を調べ、原因となる臓器の画像検査を行う必要があります。また治療については長期間となる場合もあります。患者さんにとっては聞いたことがないような病気が多いため、病気について・検査や治療をする意義について丁寧に説明するよう心がけています。当科は経験のある専門医が多数在籍しており正確な診断と治療を行っています。また他科と連携し手術療法や放射線治療なども院内で完結できることも特徴です。

Q5.最後に、診療の中で心がけていることを教えてください。

糖尿病も内分泌疾患も一度薬を出したら治るという病気ではありません。そのため信頼関係を大切にし、目の前の患者さんの未来が少しでも良くなるように診療をしています。そして医師の個の力だけではなく、多職種の力を得て最善の治療を提供できるよう努めています。お気軽にご相談ください。

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