肥満症の治療
糖尿病・内分泌内科部長 恒川 卓
肥満症の治療方針
- 下記の図は肥満症の治療方針となります。食事療法、運動療法および行動療法などで目標が未達成の方には外科治療あるいは薬物療法も検討しますが、食事運動療法はその場合でも同時に継続していく必要があります。
- 肥満症の治療は患者さんが中心となりますが、成功するためには下記の図のように多職種が関わりサポートして参ります。患者さんの思いやライフスタイルを尊重した治療ができるよう連携を取りながら一体となって診療を行って参ります。
内科治療
- 肥満は下記の図のように摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることで脂肪が蓄積した状態です。そのため肥満症の治療では摂取エネルギーを減らし、消費エネルギーを増やすことでエネルギーバランスを負の状態にすることが重要です。一時的な減量はできても長い期間、減量した体重を維持することは簡単ではありません。そこで一宮市立市民病院では肥満症専門医のもと食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法および外科治療を患者さんの状態に合わせてコーディネートして参ります。
- GLP-1受容体作動薬(注射製剤)の治療については、厚生労働省の最適使用推進ガイドラインに準じて下記をすべて満たす方に保険適応で行います。
- ① 20歳以上で高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかがある。
- ② BMIが27 kg/m2以上かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害がある。またはBMIが35 kg/m2以上。
- ③ 当院で適切な治療計画に基づき6か月以上の治療を実施しても十分な効果が得られない。
外科治療(減量・代謝改善手術)
- 手術適応は下記のうち①あるいは②に該当し、当院で手術が適切と判断された場合です。年齢は原則として18歳から65歳までです。
手術適応①
6か月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られない。
BMIが35 kg/m2以上。
糖尿病、高血圧症、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群または非アルコール性脂肪肝炎を含めた非アルコール性脂肪性肝疾患の一つ以上を合併している。
手術適応②
6か月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られない。
BMIが32.0~34.9 kg/m2。
糖尿病がありHbA1c 8.0%以上、高血圧症、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、非アルコール性脂肪肝炎を含めた非アルコール性脂肪性肝疾患のうち2つ以上を合併している。
身長と体重の目安
BMI 27 kg/m2 |
BMI 32 kg/m2 |
BMI 35 kg/m2 |
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身長 | 体重 | 体重 | 体重 |
140cm | 53 kg | 63kg | 69kg |
150cm | 61 kg | 72kg | 79kg |
160cm | 70 kg | 82kg | 90kg |
170cm | 79 kg | 92kg | 101kg |
180cm | 88 kg | 104kg | 113kg |