内分泌性高血圧と原発性アルドステロン症
糖尿病・内分泌内科部長 恒川 卓
二次性高血圧
二次性高血圧とは
日本では高血圧の方が4000万人以上いると推定されていますが、高血圧症の9割は原因の特定できない高血圧(本態性高血圧)とされています。一方で原因を特定できる高血圧を二次性高血圧とよび、①腎実質性、②腎血管性、③内分泌性、④血管性、⑤脳・中枢神経性、⑥遺伝性、⑦薬剤誘発性などに分類されます。
内分泌性高血圧
先端巨大症、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症およびレニン産生腫瘍などがあります。ホルモンの異常な分泌が原因となっており、治りにくい高血圧や副腎腫瘍を契機に発見されることが多いです。
検査
- 血液や尿のホルモン値を測定します。
- 内分泌負荷試験を行います。
- 超音波検査、CTやMRI検査、アイソトープ(RI)を用いたシンチグラムなどの画像検査を行います。
治療
- 手術で異常なホルモン産生部位(臓器)を切除します。
- ホルモンの合成や作用を阻害する薬剤を用います。
原発性アルドステロン症
原発性アルドステロン症とは
- 高血圧の方の5~10%程度の方が原発性アルドステロン症といわれており、内分泌性高血圧の中でも頻度が高い病気です。
- 副腎皮質からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌され高血圧をきたす病気です。
- 手術適応の場合、治る可能性のある高血圧です。
原発性アルドステロン症の診断のきっかけとなる症状
- 血圧が急に高くなった。
- 若いのに上の血圧が150 mmHg、下の血圧が100 mmHgを超えている。
- 薬を3種類以上飲んでも血圧が下がらない。
- 40歳以下で脳卒中を発症した。
- 副腎に腫瘍が指摘された。
- 低カリウム血症がある。
原発性アルドステロン症は何が問題なのか?
普通の高血圧の方に比べ、心臓や脳、腎臓などに障害が起きる確率が高くなることが分かっています。そのため早期発見・早期治療が重要です。
原発性アルドステロン症の検査
- 血中のアルドステロン/レニン活性の比が高い場合に精査を行います。
- 内分泌負荷試験、副腎CTや血管合併症の検査をします。
- 手術療法を念頭におく場合、副腎静脈サンプリングを行います。
副腎静脈サンプリング
- 副腎静脈から血液を採取(サンプリング)する検査です。検査は主に原発性アルドステロン症と確定診断された方に、アルドステロンが左右の副腎どちらから主に分泌されているか(局在診断)を明らかにする目的で行います。
- 放射線診断科に依頼し、入院のうえ検査を行います。
原発性アルドステロン症の治療
- 原則として片方の副腎を手術で摘出します。
- 血圧治療にはアルドステロンの作用を阻害する薬剤を中心に用います。
一宮市立市民病院では、日本内分泌学会認定の専門医および指導医が複数在籍し、的確な診断を行えるよう体制を整えています。お困りの際は、ぜひ当科にご相談ください。