「心不全」って怖い病気?

循環器内科部長 澤村 昭典
日本において心不全の患者さんは年々増えており、実はコロナの前から「心不全がパンデミックになる」と言われていました。長年心不全診療に携わっている澤村昭典医師に話を聞きました。
Q1. 心不全とはどのような病気ですか?
心不全とは、心臓の動きが悪くなり、息切れやむくみが起こす病気です。心臓の動きはだんだん悪くなり、生命を縮めます。心不全は5年生存率が50%前後といわれており、これは大腸がんに並ぶ予後の悪さです。
Q2. 心不全の原因は何ですか?
心不全には、心筋梗塞・弁膜症・心筋症など、さまざまな原因があります。実はこの「原因をきちんと見極めること」が、最も重要な第一歩です。原因によって治療法は異なってきますし、適切に治療すれば悪化を防げるケースも多いのです。
Q3. 一宮市立市民病院では、どのような検査や治療が可能ですか?
心不全の原因検索は、心エコー・心臓カテーテル検査・MRI・心筋シンチグラフィなどさまざまな方法を駆使する必要があります。当院では、心不全に必要な検査をすべて院内で完結できるのが大きな特徴です。「何が原因で心臓が弱っているのか」を見極め、最適な治療を選択することが、当院の心不全診療の中核です。
Q4.専門的な治療を受けることも可能なのでしょうか?
はい。当院では、心筋症の一種であるトランスサイレチン型心アミロイドーシスに対する内服治療(タファミジス)が可能です。愛知県内では、大学病院を除いて唯一タファミジス処方が可能な認定施設です。
また、植え込み型補助人工心臓(VAD)の管理認定施設として、重症例にも対応しています。必要に応じて名古屋大学病院など移植施設への橋渡しも円滑に行っています。
Q5. 心不全は怖い病気なのでしょうか?
繰り返しになりますが、心不全は大腸癌と同じくらい悪い病気です。しかし、心不全が大腸癌と異なるところは生活習慣の改善を図ることで進行を遅らせることができる点です。逆に、生活習慣の改善が疎かになると、病気がすぐに進んでしまいます。心不全は怖い病気ですが、適切に管理できるのなら過度に恐れる必要はありません。
Q6. 心不全で大切な生活習慣管理について教えてください。
心不全の生活習慣管理は、塩分制限と適切な運動習慣が大切です。当院では心不全で入院された患者さんにまず教育用動画を見てもらっています。その後も看護師・薬剤師・理学療法士・管理栄養士など多くの専門職が指導を行い、適切な生活習慣を心がけてもらっています。心不全が心配な方は、お気軽にご相談ください。
生活習慣管理についてはこちらの動画をごらんください。
https://youtube/LJp78b8WQIQ