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ドクターインタビュー

胸がドキドキ、心房細動かもしれません!

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循環器内科部長兼不整脈部長 浅井 徹

心房細動は大きな合併症を起こすことがある反面、自分でもチェックすることができる病気でもあります。その治療に長年携わってきた一宮市立市民病院浅井徹医師に話を聞きました。

Q1. 心房細動という病気について教えてください。

心房細動は心臓病の中でも不整脈という脈の異常にかかわる病気のひとつです。心臓は筋肉でできたポンプとして働いており、体の中の血液の流れを作り出しています。不整脈のない心臓では心房→心室と順序よく収縮することにより、効率よく血液を送り出しています。心房細動になると心房の筋肉が細かく震えたようになり、まさに細動なんですが、結果としていろいろな不都合が生じてしまいます。

Q2. 心房細動になると、どんな問題が生じるのでしょうか?

大まかに3つの問題があります。まず、何らかの症状を自覚することが多いですね。ただしこれには個人差があり、救急車を呼ぶほどの激しい動悸(心臓の動きを自覚すること)を感じる方もいれば、一方で軽い息切れや胸苦しさを自覚するだけの方も少なくありません。

二つ目は心房細動が起こることにより、心臓のポンプとしての能力が約20%低下します。これが原因で心不全を発症し入院が必要になることもあります。

三つ目がとても大きな問題で、心房細動になると脳梗塞を起こしやすくなることがわかっています。健康な人と比較すると、そのリスクは約5倍とされています。心房がきちんと収縮しないことにより血液のよどみが生じ、血液の塊である血栓が形成されやすくなります。この血栓が脳に流れることで血管の目詰まりを起こし、脳梗塞を発症してしまいます。

Q3. 症状がないこともあるとききました。自分でチェックできますか?

自分の手首で脈をとると「トクトクトク・・・」と規則正しく脈を感じるはずです。これが乱れていれば何らかの不整脈の可能性があります。脈をとるのに慣れていない方は、血圧計あるいはスマートウォッチといった道具を利用してもよいでしょう。

Q4. どのような治療法があるのでしょうか?

薬物による治療、カテーテルによる治療、そしてこれら二つを組み合わせることも多いです。一般に薬物治療により心房細動による症状を軽減し発作を予防することができます。また、血液を固まりにくくするお薬(抗凝固薬)で脳梗塞を予防することも重要です。薬物療法は基本的に継続する必要があり、副作用を生じることもある点がデメリットですね。

カテーテルによる治療は、一般に「アブレーション」と呼ばれています。カテーテルという細い管を心臓の中に持ち込み、心房細動の原因となる部分を焼灼あるいは冷却して心房細動の根治をはかります。発症して1年以内であれば、1回の手術で約80%根治できることが多いです。手術時間は2時間程度、23泊程度の入院期間で、退院後すぐに仕事に復帰することもできます。アブレーションのやり方にも病院によって違いがあるため、詳しくは担当医に詳しく説明してもらいましょう。

心房細動は早く発見することにより、より治療がしやすくなります。日頃から血圧測定をしたり健診を受けるなどして、自分の脈の乱れを見つける努力が必要ですね。

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