小児の消化器疾患
小児科副医長 鵜飼 聡士
子どもの消化器疾患は大人のそれとは少し様相が異なります。それぞれの特徴をまとめましたので、参考にしてください。ご心配なことがあれば、お気軽に小児消化器外来を受診してください。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
炎症性腸疾患は、消化管に慢性的な炎症が起こる病気です。20~30歳代で発症しやすいですが、小児期に発症することがあります。血便や下痢、腹痛といった消化器症状に加え、体重が増えにくい、身長の伸びが悪いといった成長への影響がみられることがあります。原因ははっきりとは分かっていませんが、免疫の異常や腸内環境、体質などが関係していると考えられています。 診断には、血液検査や便検査に加えて、内視鏡検査が重要です。胃カメラや大腸カメラで腸の状態を直接観察し、必要に応じて組織を採取して詳しく調べます。治療は、炎症を抑える薬や栄養療法を中心に行い、病状に応じて生物学的製剤を使用することもあります。長期的に経過をみながら、症状をコントロールし、日常生活や成長への影響を最小限にすることを目指します。
食物アレルギー(消化管の症状)
食物アレルギーの中には、皮膚症状ではなく、嘔吐や下痢、血便といった消化管の症状として現れるタイプがあります。特に乳児では、ミルクや特定の食材が原因となることがあり、体重の増えが悪いことで気づかれる場合もあります。 診断は、症状と食事内容との関係を丁寧に確認することが基本となり、必要に応じて血液検査や除去・再開試験を行います。治療は原因となる食物を適切に調整することが中心ですが、成長に必要な栄養を確保することも非常に重要です。そのため、必要以上の制限は避け、お子さん一人ひとりに合わせた食事管理を行います。
好酸球性消化管疾患(好酸球性食道炎・好酸球性胃腸炎)
好酸球性消化管疾患は、好酸球という白血球の一種が消化管に集まり、炎症を引き起こす病気です。腹痛や嘔吐、下痢のほか食べ物が飲み込みにくい、つかえる感じがするなどの症状がみられることがあります。 原因としてはアレルギーに関連した免疫の反応が関与していると考えられていますが、詳しい仕組みはまだ完全には解明されていません。診断には内視鏡検査が必要で、見た目の所見に加えて、組織を採取し顕微鏡で好酸球の増加を確認します。治療は、原因となる食物の調整や、胃酸を抑える薬、ステロイド薬などを用いて炎症を抑える方法が中心となります。
消化管ポリープ
消化管ポリープは、腸の内側にできる隆起した病変で、小児では多くが良性の「若年性ポリープ」です。血便をきっかけに見つかることが多いですが、症状がなく偶然発見される場合もあります。 診断には大腸内視鏡検査が必要で、ポリープの位置や数を確認します。治療は内視鏡を用いてポリープを切除する方法が一般的で、多くの場合は一度の処置で治療が完了します。切除したポリープは病理検査に提出し、性質を詳しく調べます。 複数のポリープを認めた場合、「ポリポーシス症候群」と診断される可能性があり、より詳しい検査が必要となります。
肝臓・膵臓の病気
肝臓や膵臓の病気は、症状がほとんどなく、健診や血液検査で異常を指摘されて見つかることが多いのが特徴です。一方で、腹痛やだるさ、まれに皮膚や白目が黄色くなる黄疸などの症状が現れることもあります。 原因としては、ウイルス感染や体質による脂肪肝、代謝の異常などさまざまです。診断には血液検査や腹部超音波検査を行い、必要に応じて追加の検査を組み合わせます。治療は原因に応じて行われ、多くの場合は経過観察で問題ないこともありますが、適切なフォローが重要です。
異物誤飲
異物誤飲は、小さなお子さんが誤っておもちゃや硬貨、ボタン電池などを飲み込んでしまうことで起こります。多くの場合は症状がありませんが、のどの違和感や嘔吐、腹痛、よだれが増える(のみこみができない)などの症状がみられることもあります。 診断にはレントゲンやCT検査を行い、異物の種類や位置を確認します。対応は異物の性質によって異なり、自然に排出されるのを待つ場合もあれば、内視鏡で取り出す必要がある場合もあります。特にボタン電池や磁石、先のとがったものは体内で障害を起こす危険があるため、速やかな受診が重要です。




