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ドクターインタビュー

乳がんについて

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乳腺・内分泌外科部長 中西 賢一

乳がんは日本人女性のがん罹患数の1位を占める、非常に身近な病気です。一方で検診を受けることにより早期治療ができる疾患でもあります。その治療を専門とする中西賢一医師に話を聞きました。

Q1. どうして乳がんになるのでしょうか?

乳がんになる原因は1つではなく、様々なリスクが積み重なって最終的に乳がんを発症すると考えられます。生活習慣・環境因子としては喫煙、アルコール飲料の摂取、肥満は乳がん発症リスクをほぼ確実に高めると言われています。また良性乳腺疾患や糖尿病の既往、乳がんの家族歴も乳がん発症リスクをほぼ確実に高めると言われています。診療ガイドラインに詳細が載っていますのでそちらも参考にしてください。ホームページでも閲覧できます。

Q2. マンモグラフィ検診を受ける以外に、なにか自分でできることはありますか?

日頃から、自分の乳房がどのような状態か知っておくこと(これをブレスト・アウェアネスといいます)が重要です。乳房は自分で見て、触ることができるので、入浴や着替えの時などちょっとした機会に自分の乳房の状態をチェックしましょう。「しこりを探す」という意識ではなく、いつもの乳房と変わりがないか、乳房の変化に気を付けることがポイントです。なにか変化を感じたらすぐに医療機関を受診してください。

Q3. 乳がんは遺伝するのですか?

乳がんのうち約1割は遺伝が大きく関係している「遺伝性乳がん」といわれています。そのうちの約半分は「BRCA」という遺伝子の変異があると考えられています。乳がんを発症された方で、若年で発症されたり、血縁者にも乳がんを発症された方がいたりする場合にはBRCA遺伝子検査が保険適応になります。一宮市立市民病院でもその検査を受けることができます。詳しくは文京だより第6をご参照ください。ただし、この遺伝子検査が陰性であっても遺伝しないとは言い切れないため、血縁者に乳がんを発症された方がいる場合には、遺伝する可能性も考慮してこまめに検診を受けることをお勧めします。

Q4. 手術で悪いものをすべて取ったのに、どうしてそのあとで薬の治療が必要になるのですか?

目にみえるがんは手術ですべて取り除きます。しかし目にみえないがん細胞が、乳がんになった最初の時点から体のどこかに潜んでいて(微小転移といいます)、手術を受けたあとに目にみえるものとして出てくることがあります。これを「再発」といいます。薬物療法はこの微小転移をおさえて再発を予防するために行います。ホルモン感受性の有無とHER2(ヒト上皮成長因子受容体2型)タンパク発現の有無で治療薬は異なります。

Q5. 乳がんは5年ではなくもっと後になって再発することもあると聞きました。いつになったら完治したといえますか?

乳がんはもともと他のがん腫に比べると再発する確率は高くないのですが、中には手術してから10年以上経ってから再発することも稀ですがあります。ホルモン陽性の乳癌でその傾向が強いとされています。そのためホルモン剤を長期にわたって飲む必要があります。ただし晩期再発のリスクは非常に低いため、頭の片隅に入れておく必要はありますが、それに過度におびえる必要はありません。

Q6. ネットでいろいろと調べていくうちにどんどん不安になってきました

いまはいろいろなことをインターネットで調べることができる便利な時代になりましたが、反面得られる情報量が多すぎて自分で処理できない事態に陥りがちです。調べるのであれば「診療ガイドライン」などの客観性の高いものをお勧めします。個人で運営してるブログなどは主観的な意見が強いため、参考にとどめておいた方がいいと思います。わからないことや不安なことがあれば、自分で抱えずに診察の時に医師に聞いてみるのが一番です。ぜひお気軽に聞いてみてください。どんなことでもお答えします。

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