ロボット支援手術(ダヴィンチ手術)
外科部長 村井 俊文
一宮市立市民病院では尾張西部医療圏初となる手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いた直腸がん手術を2019年11月から始めています。直腸がんに対する手術から開始しましたが、現在はその適応を胃がん・結腸がんにまで拡大しています。
ダヴィンチの機器構成と特徴
(1)「サージョンコンソール」と呼ばれる操縦席に術者が座り、画像を見ながら手元のコントローラーを操作します。ロボットアームに取り付けられた内視鏡から送られてくる3Dの高精細拡大画像によって、術者は手元で神経や毛細血管を細部まで詳細に観察することができます。
(2)「ペイシェントカート」の4本のロボットアームにその動きが伝わります。
ロボットアームは多関節機能を備えています。人でいえば手首にあたりますが、人の手以上に自由に動かすことができるため、骨盤内などのより狭いスペースに入っていくことが可能となります。また、手術操作の際に術者の手の動きは実際より小さな動作に変換されるため手ブレが取り除かれてロボットアームに伝わります。このため腹腔鏡よりさらに緻密な操作が可能となります。
(3)「ビジョンカート」のモニターに手術中の画像が映し出され、手術スタッフも同じ画像が共有されます。
直腸がん手術
腹腔鏡手術では難易度の高いとされる、深くて狭い、骨盤内操作に対してダヴィンチを用いることで今まで以上の精緻な手術を実施可能です。その結果、術後の排尿障害や性機能障害が減少すると言われています。
胃がん手術
腹腔鏡手術より正常組織を傷つけることなく、リンパ節を含む周囲組織をきれいに切除することができます。その結果、術後最大の合併症である膵液ろうが減ると言われています。
Intuitive Surgical社からロボット手術の認定を受けた医師、またはロボット支援手術認定プロクターが手術を担当しています。更なる治療成績の向上と患者さんの生活の質(QOL)の確保を目指し、チーム一丸となってロボット支援手術に取り組んでいます。