アレルギー性鼻炎のレーザー治療
副院長(耳鼻いんこう科) 森部 一穂
アレルギー性鼻炎に対しては薬物をはじめとする様々な治療法がありますが、その一つとして、レーザーを使用した手技(下鼻甲介粘膜焼灼術)を紹介します。くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった花粉症の鼻症状は、花粉によって鼻の中の粘膜(下鼻甲介といわれる部分の粘膜)の表面でアレルギー反応が起こる結果です。この粘膜をレーザーによって焼灼(簡単に言うと焼くことです)することで、アレルギー反応の場である粘膜の腫れを減少させ、また、アレルゲン(アレルギーの原因物質です)に対する粘膜の過敏性を低下させることができます。このためアレルゲンが鼻内に侵入して起こる鼻症状の抑制に効果があるのです。
治療の手順
一宮市立市民病院では外来での日帰り手術を行っています。以下にその流れを説明します。
- 最初に外来の診察を受けます。このときにレーザーを行う日を予約します。(レーザーは基本的に平日の午後に行います)
- レーザーを行う1週間前に、手術前の血液検査(肝炎などの感染症のチェック)をします。
- レーザー当日、ネブライザーという蒸気の吸入があります。ネブライザーで最初に麻酔薬を鼻から吸入していただきます。所要時間は約10分です。次に鼻の中に麻酔薬をつけたガーゼを入れ、15分程度休憩していただきます。それらの前処置で鼻の中はほとんど痛みを感じなくなります。
- 鼻の中の粘膜(下鼻甲介といわれる部分の粘膜)の表面をレーザーで点状に焼灼します。レーザーで焼灼する時間は10分程度です。痛み、出血はほとんどありません。入院の必要もありませんので当日帰宅できます。一般的にレーザーのあと2、3日の間だけ、一時的に鼻水が増え、若干の出血が起こることはありますが、その後症状が改善していきます。
治療の費用
1回のレーザーにかかる費用は3割負担で約10,000円程度です。
治療の効果
1ヶ月から2年の間での改善度は、7~8割を超えていると言われています。時間経過とともに効果の薄れることがありますが、繰り返し行うと効果が増えていき、無症状となり治療不要になったという報告もあります。