睡眠時無呼吸症候群の検査と治療
副院長(耳鼻いんこう科) 森部 一穂
睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome、SAS)の患者さんは、起きている時には呼吸障害の自覚がありません。しかし、寝ている時に呼吸が止まったり呼吸が弱くなったりするため、血液の中の酸素濃度が低下し深い睡眠に入れない状態となります。
睡眠時無呼吸症候群の症状
- 睡眠中のいびき、睡眠中の異常運動
- 起きているときボーッとしている(集中力の低下、居眠り、イライラ)
- 息が止まると家族によく指摘される
- 夜尿、朝の頭痛など
これらの症状がみられたら、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみてください。
いびきをかく中高年の肥満男性で交通事故を起こしたり、電車を乗り越したり、昼間居眠りばかりしているようであれば、要注意です。睡眠時無呼吸症候群は大人に限らず、子供でもみられます。子供では夜尿症がなかなか治らないとか、歯並びが悪くなるといったこともあります。
睡眠時無呼吸症候群の原因
- 閉塞型(呼吸をしようと胸は動くが、息が吸えないもの)・・・大部分はこのタイプ
アデノイド・扁桃の肥大、鼻・副鼻腔の疾患、咽頭・喉頭の疾患による気道の狭窄、肥満など - 中枢型(呼吸をしようとしないので胸の動きも止まってしまうもの)
中枢神経疾患(脳出血、脳梗塞など)が原因となることが多い - 混合型(上記の2つの混在するもの)
放置した場合に生じうること
二次性赤血球増多症、不整脈、心筋梗塞・脳梗塞を起こすリスクの上昇、突然死等が認められることがあります。
睡眠時無呼吸症候群の治療
体重のコントロール、アデノイド切除、扁桃摘出、鼻中隔矯正術などがあります。また、ご家庭で気をつけられることとして、お酒を飲んですぐ寝ない、側臥位就寝(横向きになって寝る)などがあげられます。最近ではCPAPという睡眠時の鼻に装着する補助的な呼吸器を積極的に使用する傾向にあります。一宮市立市民病院では、この症状を一泊入院してPSGという睡眠時の脳波を測定する器機で検査をしています。簡易型のアプノモニタは外来で貸し出し、自宅で検査をします。
お心当たりのある方は一度ご相談ください。