日進月歩の膵臓がん治療

消化器外科部長 森本 大士
膵臓がんは症状が出にくいため、一般的には見つかりにくいがんとされています。しかし、近年、診断技術と治療方法に大きな進歩が見られています。膵臓がんの手術を数多く執刀してきた森本大士医師に話を聞きました。
Q1. 膵臓がんを早期発見する方法はありますか?
膵臓がんは初期には自覚症状がほとんどありません。また、胃カメラや便潜血検査といった胃がん・大腸がんを見つける一般的な検診がないため、早期発見が難しいがんの一つとされています。そのため、人間ドックやかかりつけ医での定期検診で腹部超音波検査やCT検査などを受けることが大切です。特に膵臓がんのリスクが高いとされる方は、毎年の人間ドックや検診を受けることをお勧めします。
Q2. 膵臓がんリスクが高いのはどのような人でしょうか?
糖尿病のある方は膵臓がんの発症リスクが高いことが知られています。特に、これまで安定していた糖尿病が急に悪化した場合や、50歳以上で新たに糖尿病を発症した場合には注意が必要です。このような方は膵臓がんが見つかる可能性が一般の方より高いと報告されており、一度腹部超音波検査やCT検査などで膵臓を調べておくことが勧められます。また、血縁者に膵臓がんの患者さんがいる場合もリスクが高いとされています。そのほか、慢性膵炎の方・若い頃からBMI30以上の肥満がある男性・喫煙者などもリスクが高いといわれており、これらに当てはまる方は定期的な検診が重要です。
Q3. 膵臓がんは治療が難しいがんと聞きますが、実際どうなのでしょう?
膵臓がんは進行してから見つかることが多いため「治療が難しいがん」という印象を持たれがちですが、近年、膵臓がんの診断と治療は日進月歩で大きく進歩しています。検査の面では、CTやMRIなどの画像診断の精度が向上し、内視鏡超音波検査などにより膵臓をより詳しく調べることが可能になりました。その結果、以前よりも早い段階で膵臓がんが発見される患者さんも増えてきています。治療の面でも手術技術の向上に加え、抗がん剤治療や放射線治療を組み合わせた「集学的治療」が行われるようになり、治療成績は年々向上しています。実際、長期に元気に生活される患者さんも少なくありません。膵臓がんは、できるだけ早く見つけて適切な治療につなげることがとても重要です。
Q4. 一宮市立市民病院で膵臓がんの専門的治療はできるのでしょうか?
当院は膵臓の病気を専門的に診療する体制が整った医療機関として、専門学会から日本膵臓学会認定指導施設の認定を受けています。膵臓がんについても、精密検査による診断から手術、抗がん剤治療まで、院内で一貫して行うことができる体制を整えています。外科・消化器内科・放射線科などの医師が連携し、患者さん一人ひとりの病状に応じた最適な治療方針を検討しています。また、高難度手術や陽子線治療などが必要な場合には、大学病院やがんセンターなどの高次医療機関へ紹介することも可能です。さらに、高次医療機関での治療後の経過観察や抗がん剤治療を当院で継続することもできます。がんの治療は長期間にわたることも多く、遠方の医療機関への通院が患者さんやご家族の負担になることも少なくありません。当院では地域の医療機関とも連携しながら、できるだけ身近な地域で専門性の高い医療を受けていただける体制づくりを大切にしています。
膵臓がんについて不安なことやお困りのことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。一緒に最適な診療を考えていきましょう。




