肥満症でお悩みの方へ :腹腔鏡下スリーブ状胃切除術という選択肢
消化器外科部長 森本 大士
肥満症は単に体重が多いだけではなく、糖尿病、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな健康障害を引き起こす病気です。まずは食事療法や運動療法、薬物療法などの内科的治療が行われます。近年では、マンジャロ®(チルゼパチド)をはじめとするGLP-1/GIP受容体作動薬により、大きな減量効果が期待できるようになりました。
内科的減量治療の課題 : 「減らす」ことより「維持する」ことの難しさ
しかし、肥満症治療で難しいのは「減量」そのものよりも、「減量した体重を長期間維持すること」です。マンジャロ®などの薬剤は治療を継続している間は高い効果が期待できますが、いつまで続けるのかという問題があります。治療を中止すると食欲が戻り、体重が再増加(リバウンド)することが少なくありません。そのため、「長期にわたって継続する必要があるのではないか」と悩まれる患者さんもいます。
また、これらの薬剤は高価な治療であり、長期間継続すると医療費の負担が大きくなる可能性があります。もちろん薬物療法は非常に有効な選択肢ですが、長期的な体重維持や費用対効果まで含めて考えることが大切です。
外科治療という選択肢
このような高度肥満症に対して、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は有力な治療法のひとつです。胃の大部分を切除して細長い筒状(スリーブ状)にすることで、食事量が物理的に制限されるだけでなく、食欲に関係するホルモンの分泌も減少し、自然に食事量が減少します。
手術後6か月から1年にかけて大きな体重減少が得られ、その後は体重が安定することが一般的です。平均すると、超過体重の約60%の減量が期待できると報告されています。
さらに、減量効果だけでなく、糖尿病をはじめとする肥満関連疾患の改善効果も期待できます。糖尿病の患者さんでは、術後に経口血糖降下薬やインスリン治療が不要となるケースも少なくありません。手術時間は2時間程度で入院期間は1週間程度です。
当院は認定肥満症専門病院および肥満症外科手術認定施設に認定されています
二つの認定を受けるのは、愛知県では名古屋大学医学部付属病院、名古屋市立大学病院に続いて3施設目です(2026年4月現在)。
「薬で減量できたが、この先いつまで続けるべきか不安」「減量してもすぐに元に戻ってしまう」「手術も含めて自分に合った治療を知りたい」――そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。当院では、外科医、内科医、看護師、管理栄養士、臨床心理士など多職種が連携し、術前から術後まで長期にわたりサポートいたします。あなたにとって最適な治療法を一緒に考え、健康的な未来への第一歩をお手伝いします。





