肥満症Q & A
糖尿病・内分泌内科部長 恒川 卓
Q1. 外科治療の減量効果はどれくらいですか?
- 国内の報告では、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の総体重減少率は1年で29%、3年で28%、5年で26%です(Haruta H, et al. Obes Surg. 2017;27:754-762)。
- 当院の実績(17症例)でも、術後1年で約28%の減量と、国内の報告と同等の効果を示しています。

Q2. 外科治療の健康障害への効果はどれくらいですか?
- 国内の報告では、術後2年経過の時点で寛解率(無治療で良好な値)が、糖尿病約75%、脂質異常症約60%、高血圧症約40%と報告されています(Saiki A. et al., Ann Gastroenterol Surg. 2019;3:638?647)。
当院で減量手術を施行した元々糖尿病があった患者さんの実績(11症例、術後1年時点)

※2型糖尿病の寛解は薬物療法を行っていない状態でHbA1c 6.5%未満が3か月以上持続することです(Riddle MC. et al., Diabetes Care 44: 2438-2444)。
Q3. 一宮市立市民病院で減量手術を受けるメリットはありますか?
- 当院は肥満症専門医が2名在籍し2022年から認定肥満症専門病院、2026年から肥満症外科手術(減量・代謝改善手術)認定施設に認定されており、両方の認定を受けている施設は、愛知県内では名古屋大学医学部附属病院、名古屋市立大学病院に次いで3施設目となります(2026年4月現在)。
- 安全管理と医療の質
学会の厳しい基準をクリアした施設として、減量・代謝改善手術をはじめとする高度な治療を安全に実施できる環境が証明されています。 - 内科・外科が連携したトータルケア
生活習慣の介入や薬物療法から外科的アプローチまで、シームレスで一貫した肥満症治療が可能です。多職種によるチーム医療も充実しています。 - 地域医療への貢献
専門医療を地域で受けやすい環境を整えています。
Q4. 手術後の食事について教えてください。
当院では、手術で小さくなった胃に負担をかけないよう、状態に合わせて段階的に食事を戻していきます。
手術2日後から:流動食(液体状の食事)を2週間続けます。
術後3週目から:豆腐や温泉卵などのやわらかい食事に進みます。
術後1か月頃から:通常の食事に近いものが食べられるようになります。

Q5. 手術後の職場復帰はどれくらいかかりますか?
- 多くの患者さんの入院期間は1週間から10日間です。
- 退院後1~2週間程度で職場復帰するケースが多いですが、お腹に力が入る仕事(重労働など)の場合は、少し長めの期間(約1か月)が必要です。

Q6. 外科治療と薬物療法の費用対効果は?
- 効果の比較:体重減少効果は、一般的に外科治療の方が大きいとされています(効果には個人差があります)。
- 費用の比較:高額療養費制度を利用した場合、手術と入院の自己負担額は5~20万円程度です(所得などにより異なります)。これは注射製剤による薬物治療を1年間行った場合の費用と同程度と考えられます。薬物療法は期間が長くなるほど総額が高くなります。
- 当院の方針:減量手術と薬物療法は相反するものではありません。必要に応じて、手術の前後で薬物療法を組み合わせるなど、最適な治療を行います。
Q7. 将来の妊娠を見すえています。手術の後すぐに妊娠できますか?
- 肥満は不妊や妊娠・出産時のリスクを高めることが知られています。また、男性の肥満も不妊リスクを高めるとの報告があるため注意が必要です。そのため、適正体重に近づけてから妊娠を計画することが重要です。
- ただし、減量手術後の妊娠は、急激な体重減少に伴う栄養摂取への影響を考慮し、術後1年から1年半は期間をあけるべきだとされています。
- 悩みがある場合は相談してください。また、国立成育医療研究センター「プレコンセプションケアセンター」のウェブサイトも参考になります。
Q8. 手術をすれば簡単にやせられますか?
- 手術は体重を減らしやすくする大きな助けになりますが、手術だけに任せればよいというものではありません。
- 術前・術後の食事や運動など生活習慣を整えることが、長く良い結果につながります。
- 当院では受診後からチームでサポートし、長く良い結果を維持できるよう伴走していきます。





