症状から見る消化器疾患:便潜血
消化器内科部長 平松 武
便潜血とは
便潜血検査は消化管(おもに大腸)に出血するような異常がないかを調べる検査で、健康診断や検診でよく行なわれています。便潜血検査は通常2回行います。よく患者さんから「1回しか陽性になってないので検査しなくていいですか?」「もう一度、便潜血検査をして陰性ならいいですか?」といったご質問を受けますが、この検査は1回でも陽性であればきちんと検査をする必要があります。
便潜血が陽性になる原因
便潜血が陽性の場合に一番代表的で怖い病気は大腸がんです。頻度としては便潜血陽性となった方の2-3%とされており多くはありませんが、近年日本人では大腸がんが増加してきています。
大腸がんの症状の一つに下血がありますが、初期には目で見てわかるような下血はありません。下血や便が細くなるなどの便の異常、体重減少が現れた時にはすでに進行した大腸がんとなっていることがあります。一方、早期に大腸がんが見つかった場合には外科的な手術をせず、大腸カメラを使っておなかを切らずにがんを切除することが可能なこともあります。
便潜血陽性の場合には無症状でも精密検査についてご相談ください。精密検査は大腸カメラを行うことが多いですが、「大腸カメラって痛いって聞きました」「恥ずかしい」などのご不安があれば、鎮静剤を使用して大腸カメラを行う方法や大腸CTといってカメラを入れずに検査する方法など、色々な選択肢をご提案することが可能です。一宮市立市民病院消化器内科までご相談ください。
便潜血と痔との関係
便潜血が陽性と言われると「自分は痔かもしれない」「たまたま検査の時に硬くて痔から血がついた」と言われる方もよくいらっしゃいます。しかしながら、「痔は便潜血検査にあまり影響をおよぼさない」という報告もあるようです、その理由として「大腸がんの出血は便に練り込まれるが、痔の出血は便に付着するだけだから」という説もあります。なにより「痔があるから大腸がんがない」とは検査をしてない状態では断言できません。
「たかが便潜血」と思わずに一度は検査を受けてみてはいかがでしょうか?お気軽にご相談ください。