消化器がんの早期発見をめざして
消化器内科部長 平松 武
日本人の4人に1人が悪性疾患で亡くなっているという厚生労働省の報告があります。その内訳は第1位肺がん、第2位大腸がん、第3位胃がん、第4位膵がんであり、消化器がんが多くの割合を占めています。一方で、消化器がんは早期発見により根治できることが多いのも事実です。その診療にあたっている平松武医師に話を聞きました。
Q1. 消化器内科領域のがん検診にはどのようなものがありますか?
胃がん検診・大腸がん検診があります。これらはがんを早期発見するために行っている検査なのですが、実はなかなか早い段階で検診を受けてもらえていないという歯痒い事実もあります。これらの原因の一つとして、精密検査として行われる胃内視鏡・大腸内視鏡検査が「つらい」・「怖い」・「恥ずかしい」というように患者さんのイメージの良くない検査であるからだと思われます。当科では、鼻から入れる細い胃内視鏡を用いたり、積極的に鎮静剤・鎮痛剤を使用したりして、患者さんの負担が少なくなるように努力しています。また女性の患者さんにはなるべく女性医師による大腸内視鏡検査を受けてもらえるよう配慮もしています。
Q2. 大腸がんの精密検査は内視鏡検査以外にはないのですか?
内視鏡を使わない新しい大腸の検査として大腸CT検査を行っています。大腸内視鏡検査と比較すると患者さんの負担は少なく、またより安全に大腸を調べることができます。一宮市立市民病院では2017年より大腸CT検査を開始しました。現在年間約300件程度の検査を行っており、大腸ポリープやがんの早期発見に努めています。
Q3. 膵がん検診はあるのでしょうか?
住民検診では胃がんや大腸がんに関する検査項目がありますが、膵がんに関するものはありません。一方で、定期的に腹部エコーを専門施設で行うことで、膵がんの早期発見につながるという報告が多数なされています。当院は膵臓専門医や認定を受けた専門の超音波技師が積極的に腹部エコーを行い、膵がんの早期発見・治療に取り組んでいます。
Q4. 診療の中で心がけていることは何ですが?
早期発見ができれば根治できる消化器がんはたくさんあります。わたしたちはがんの早期発見によって、地域のみなさんの大切な命を守ることを目標として、日夜診療を行っています。いつでもお気軽にご相談ください。