消化管の早期がんに対する内視鏡治療
消化器内科部長 平松 武
食道がん、胃がん、大腸がんなど胃カメラや大腸カメラ(内視鏡)で発見されるがんは、転移の可能性がきわめて少ない早期がんであれば、おなかを切る外科治療を受けなくても内視鏡を用いて切除することで治癒が見込めます。
小さながんについては以前から内視鏡で切除が行われていましたが、以前は大きすぎて内視鏡治療では切除できず手術によって切除していたがんも近年の内視鏡治療の進歩により粘膜下層剥離術(ESD)という方法でおなかを切らずに切除できることが増えました。この治療は入院で行います。治療後4-5日で退院可能です。治療は点滴から鎮静剤を入れてうとうとした状態で行っています。目が覚めた後の痛みは基本的にはありません。
食道・胃・大腸どの部位でも治療の手順は同じですが、大腸の壁は非常に薄く、ほかの臓器に比べると穴が開く(穿孔)リスクが高いので、とりわけ高度な技術が必要とされます。そのため大腸のESDを行うには、病院における他部位のESDの実績があり、手術の体制が整っていることなど、厚生労働省によって定められた施設認定基準を満たしていることが必要になります。一宮市立市民病院はこの基準を満たしており、大腸のESDを行っています。
食道がん
範囲をわかりやすくするために薬剤を散布しています。白く抜けているところが食道がんです。内視鏡で切除して治癒が得られました。
胃がん
胃の真ん中あたりにできた早期胃がんです。術後は大きな潰瘍ができますが、切除した2日後には食事を食べてもらうことができます。
大腸がん
直腸に早期がんを指摘され、かかりつけ医から一宮市立市民病院へ紹介された患者さんです。
内視鏡下に病変を切除し、治癒が得られました。