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    木曽川市民病院

放射線技術室

概要

放射線技術室には中央画像診断部門と放射線治療部門の二つの部門があり、それぞれに専門性の高い認定資格技師・専門資格技師を配置し地域の皆様に安心で安全な医療技術を提供できるよう努めています。

X線一般撮影室

一般撮影室では、主に胸腹部・頭部・椎体・四肢といった局所部位の単純X線撮影を行っています。この検査は物質の密度差によるX線透過度の違いを面の情報として記録するもので、わずかなX線量で軟部組織から骨病変まで非常に多くの情報を描出することができるため、各種診断において大変重要な役割を担っています。

当院では、FPDflat panel detectorを導入することで、より低線量かつ短時間で効率よく検査が行えるようになりました。またフィルムレス化に伴い、撮影された画像はデジタル画像として各科に即時配信されるためより迅速な診断が可能となりました。

ワイヤレスFPDシステム

X線TV

X線TV室ではX線を人体に連続的に照射することによりリアルタイムで画像を得る検査を主として行なっています。単純撮影に比べ被ばく量は若干増加しますが、単純撮影では得られない情報を得ることができ、その使用用途は多岐に及びます。

上部消化管造影

硫酸バリウム(造影剤)を飲み込んでいただき、食道から胃、十二指腸にかけての上部消化管を造影する検査です。これにより粘膜の状態や胃壁、全体の形状を把握することができ、食道がん・胃がん・その他潰瘍の発見、診断に有用な検査です。

下部消化管造影

直腸から硫酸バリウム(造影剤)を流し込み、ついで空気を注入することで直腸から結腸、回盲部にかけての下部消化管を造影する検査です。上部消化管造影同様、粘膜の状態やその形状を把握することができるため、大腸がん・大腸ポリープ・憩室炎等の診断に有用な検査です。また、下部消化管造影は小児の腸重積における嵌入部位の整復などにも用いられています。

内視鏡検査

一般的に胃カメラと呼ばれる上部消化管内視鏡検査や、下部消化管内視鏡検査、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を行っており、医師が直接挿入・観察して検査をしています。

また呼吸器科領域においては、ファイバースコープを気管内に挿入し観察・細胞診を行う気管支内視鏡検査も行っています。

その他、経皮的経肝的胆道ドレナージ(PTCD)・脊髄造影・子宮卵管造影・下肢静脈造影・嚥下造影といった検査も行われています。

乳腺撮影室

乳腺撮影室では、乳房のX線撮影を行なっており、一般的にマンモグラフィと呼ばれます。乳房は極めて柔らかい組織で出来ているために専用の装置を使って検査を行ないます。この検査では、従来の単純X線撮影とは違い非常に精密な写真が要求されるため、薄い服装であっても診断の妨げとなる可能性があり、上半身は裸の状態で検査を受けていただく必要があります。

検査は、検査台の前に立っていただき圧迫板と呼ばれる板で乳房を挟んで、両側乳房を片側2回ずつ、計4回撮影します(左右を比較して異常を発見しやすくするため両側の検査をします)。また、乳腺を薄くするほど放射線量が少なくて済み、結果被ばく線量は減少します。

当院の装置では、最高圧迫圧を14kgf(N)に設定しており(基準値:1014kgf(N))、これを上回る危険はありませんが、痛みの感じ方は個人差が強く、乳腺の構造や生理の時期などでも変わってきます。診断価値の高い写真を撮るために、極力我慢していただくようお願いしています。

超音波検査室

超音波とは、人間の耳に聞こえない高い周波数の音波(およそ20kHz以上)のことで、波長が非常に短いため音と光の両特性を併せ持っています。音の特性としては、音速が組織によって異なること、組織を伝搬する際に散乱、吸収、反射されて減衰してゆくことが挙げられ、光の特性としては、異組織間の境界で反射、屈折することが挙げられます。
エコー検査とは体表に接触させた探触子(プローブ)によりこの超音波を発生、組織間で反射させることで、人体組織の超音波伝搬の差により人体構造を知る検査のことです。検査は特殊なゼリーを塗布して装置を滑らせながら画像を確認していきます。これは、超音波の伝搬を妨げる空気がプローブと表皮の間に入らないようにするためです。非侵襲的で簡便に検査を行うことができるため、医療分野では幅広く利用されており、放射線技術室では主に腹部超音波検査と乳腺・甲状腺超音波検査を行っています。

腹部超音波検査

腹腔内臓器の表面、辺縁の形状、エコー強度、分布をリアルタイムで観察する中で、限局性疾患の有無を調べます。主な標的臓器は肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓ですが臓器そのものだけでなく、その内外の動脈系・静脈系の内腔等の変化も調べます。

乳腺超音波検査

乳腺内にしこりが見つかったときに、そのしこりが本当に「しこり」なのか、乳腺の一部が固まってしこりに感じるだけなのかを判断します。「しこり」であった場合は、良性の腫瘍か悪性の腫瘍なのかを鑑別します。

CT室

CT(computed tomography)とは、X線の細いビームを被写体に照射し、透過するX線を対向する検出器で測定、その後被写体でのX線吸収差をコンピューターで解析、再構成する断層撮影法のことです。このうち検出器を複数有するものは、MDCT(multi detector computed tomography)と呼ばれ、近年、多列化・高速化が進んでいます。

当院では16列のMDCTを1台、64列のMDCTを2台、160mmカバレージの面検出器CTを1台保有しており、それぞれ頭頚部・体幹部・椎体の単純CT、頭頚部・胸腹部の造影CTを対象として検査を行っています。また造影CT検査では、従来の造影法に加えCT angiography(CTA)で選択的に血管造影することにより、閉塞性動脈疾患の診断にも対応しています。

2015年11月に導入されたGE社Revolution CTではおよそ0.28秒/1回転の高速スキャンで、0.5mmの画像が一度に256枚収集できるため、息止め時間が短縮されたのはもちろんのこと呼吸や心拍動の影響を避けることができなかった冠動脈などの検査がより精度良く行えるようになりました。特に冠動脈撮影においては、1心拍で心臓全体が捉えることが可能であり、さらに0.23mmという細かい分解能のおかげでステント内腔の詳細な観察ができるようになりました。また多断面再構成像(MPR)、三次元再構成像(3D)においてもより高精細な画像処理が可能となりました。

また2021年3月にはGE社Revolution Maximaが導入されました。このCTはRevolution CTと同様、フルデジタルの検出器と焦点指向型配列が採用されており、従来の逐次近似画像再構成法(ASiR-V)と併せてこれまで以上にノイズの低減、被ばくの低減が可能となりました。また、金属アーチファクト低減技術によりインプラント等体内に金属を有する患者さんの撮影にも対応できるようになりました。

さらには現在様々な分野で広がりをみせるAI技術(AI Deep Learning)により、ポジショニングの一部が自動化され検査の標準化、検査時間の短縮による患者さんの負担の軽減が可能となりました。

造影剤を使用した検査を受けられる患者さんへ

造影CT検査では非イオン性水溶性ヨード造影剤を静脈から注入して検査を行います。一般的に安全な検査ではありますが、ごく稀に副作用が発現する場合があります。主治医と相談し、同意書に十分目を通して検査にお越しください。

当院では造影剤使用後の授乳制限は行っておりませんが、ご不安な点がございましたら主治医または当日検査担当者にご相談ください。

MRI検査室

MRI(magnetic resonance imaging)とは、強い磁石と電波を用いて、生体を構成している水素原子から信号を取り出し、それを画像化する検査です。CT検査とは異なり、X線を用いないため放射線被ばくが全くない検査となります。また、MRIは体の位置を変えることなくあらゆる角度からの断面が得られるという特徴があります。

1.5テスラMRI

MRI検査をより安全に受けて頂くため、各診療科外来またはMRI室前の受付にて金属類チェックリストを用いて確認をします。
原則として検査着に着替えて検査を受けて頂きます。スタッフの案内に従って更衣を行って下さい。
腹部、骨盤部の検査をする際には検査の前3時間ほど飲食を控えて頂きますので、ご協力をお願い致します。

検査の時間は内容により異なりますが、15~60分程度です。工事現場にいるような大きな音がするため、耳栓・ヘッドホンの装着もしくは耳を塞ぐ等して検査します。
動きに弱い検査ですので撮像中は体を動かさないようにお願いします。また胸部や腹部の検査の際には息止めの指示がある場合もあります。
検査中は検査室内に一人きりになりますが、検査担当者と連絡を取ることが可能です。モニターでも観察していますので、何かありましたらすぐにスタッフへお知らせ下さい。
また、小さいお子様お一人で検査される場合、ご希望があれば付き添いの方と一緒に中に入って頂くことも可能ですので、スタッフにご相談下さい。

血管撮影室

血管造影検査とはカテーテルと呼ばれる細い管を手首や大腿鼠径部などの血管から脳血管や冠状動脈、肝臓や腎臓など目的部位まで血管の走行に沿って進めていき、造影剤というお薬をカテーテルから注入しながら連続的にエックス線撮影することで血管の形状を視覚的に撮影する検査のことです。

また、血管撮影室では血管造影検査だけでなく、くも膜下出血や脳梗塞などの脳血管障害に対する治療、また、冠状動脈、末梢動脈の閉塞・狭窄に対してステントという金網を用いての血管拡張術、大動脈瘤に対してはステントグラフトと呼ばれる人工血管を移植するステントグラフト内挿術、肝細胞癌などの腫瘍や消化管出血に対する塞栓術など全身の様々な血管に対して患者さんへの体の負担が少ない治療も行います。

血管撮影室はハイブリッド手術室を含め5室あり、検査内容や治療部位によって使用する撮影室が異なります。また、診療放射線技師は緊急血管造影検査に迅速に対応するために当直勤務者が24時間365日勤務しております。

骨塩定量室

骨塩量とは骨に含まれるミネラルの量(カルシウムの量)、すなわち骨密度を意味します。これを調べることで骨粗鬆症のリスクや薬物治療の効果を知ることが出来ます。
測定方法にはいろいろあり、踵の骨を超音波で測るものや、手腕で測るものもありますが、骨粗鬆症の診断ガイドラインでは、腰椎と大腿骨近位部(股関節)をDEXA法で測定することが推奨されているため、当院ではこの方法を用いております。
また、骨の強度は7割が骨の密度、3割が骨質(骨の微細な構造)で表されるとされており、当院では骨密度と同時に骨質(TBS:海綿骨スコア)を測定しています。

核医学検査室

核医学検査とは放射性同位元素(radioisotope、RI)の持つ物理学的・科学的性質を利用して、生体の生理学的機能・代謝診断や、放射線の生物学的作用を利用して悪性腫瘍の治療などを行う検査です。当院で行う検査は全てin vivo検査で、これはRIで標識された放射性薬剤を人体に投与し、目的臓器・組織に集積するのを待って放出されるγ線をγカメラで計測し、得られた放射性薬剤の体内分布や量およびそれらの時間的変化から生体機能を診断するものです。

検査の流れ

  1. 放射性薬剤を静脈から注射します。
  2. 薬剤が目的部位に集積するまで待ちます。待ち時間は検査によって異なりますので、その都度ご説明致します。
  3. 撮影です。検査時間も検査によって異なりますが、おおよそ20分程安静状態で寝ていていただくだけです。

核医学検査を受けられる患者さんへ

当検査は完全予約制であり、検査に使用する薬剤は検査前日に発注してしまうため、万が一検査をキャンセルされる場合は、検査前日までに必ずご連絡ください。

放射線治療

当院ではリニアック2台(CLINAC iX , TrueBeam : Varian社)、治療計画装置4台(EclipseVarian社)を有しています。

TrueBeamは次世代の放射線治療に対応すべく開発された汎用性の高い医療用直線加速器であり、あらゆる部位のがんに対応する上に、安全性を考慮して精度高く短時間に治療を行うことが可能な装置です。当院では20236月から稼動を始め、前立腺、頚部などに強度変調回転放射線治療(VMAT)を開始しています。VMATは正常組織へのダメージを少なくして副作用を軽減することができます。これらの治療以外に、転移性脊椎腫瘍の体幹部定位放射線治療、また、HyperArcを用いて、多発性脳転移腫瘍に対し短時間で効率的に行う頭部定位放射線治療も実施しています。

 

放射線治療の準備として、まず患者さんそれぞれに合わせた形で固定具を作成します。次に治療計画CTを撮影し治療計画(照射方法の検討と線量分布の確認)を行います。治療計画CT時には、呼吸移動のある胸部や腹部の病巣では、AbchesRPM2種類の呼吸同期システムを使用して、呼吸移動のある胸部や腹部の病巣への治療精度を向上させ、照射範囲を最小限に縮小させることが可能となります。肺定位放射線治療、腹部定位照射では、このシステムを用いることで、精度の高い安全な治療を実施しています。

高精度な治療を行うために、放射線治療品質管理室を設置し、医学物理士・放射線治療品質管理士・放射線治療専門放射線技師が主体となり、装置の管理や治療計画の検証を行っています。高精度治療のための患者QAには多次元検出器(ArcCHECKSunNuclear,Delta4ScandiDos社)を用いています。機器管理では3D水ファントム(SunSCAN 3DSunNuclear社)を導入し、再現性や精度を担保し品質管理を実施しています。

    • TrueBeam

    • CLINAC iX

多発性脳転移(Hyper Arc)の治療計画

転移性脊椎腫瘍の治療計画

前立腺の治療計画

臨床実習

放射線技術室は未来の診療放射線技師の育成にも力を入れています。限られた期間の中で効率よく実習ができるようカリキュラムを組み一つでも多くの知識・技術を吸収してもらえるよう努めています。

過去3年間の病院実習実績(*コロナ渦により一部日程が延期・中止となりました)

2020年度* 岐阜医療科学大学3名  鈴鹿医療科学大学2

2019年度* 岐阜医療科学大学3名  

2018年度 岐阜医療科学大学5名 福岡医療専門学校5

 

カリキュラム一例

 

放射線技術室スタッフ

診療放射線技師 37名(男性30名、女性7名)

専従看護師 1名 

一般・医療事務 9名 

 

認定資格

第一種放射線取扱主任者(文部科学大臣 原子力安全技術センター) 

免状取得者: 6人  試験合格者: 9

XCT認定技師(日本XCT専門技師認定機構)3

救急撮影技師認定(日本救急撮影技師認定機構)2

血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師 

(日本血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師認定機構)3

検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師(日本乳がん検診精度管理中央機構)4

超音波検査士(日本超音波医学会・日本超音波検査学会)5

乳房超音波認定技師(日本乳がん検診精度管理中央機構)2

放射線治療専門放射線技師(日本放射線治療専門放射線技師認定機構)5

医学物理士(医学物理士認定機構)3

放射線治療品質管理士(放射線治療品質管理機構)3

放射線機器管理士(日本診療放射線技師会)4

放射線管理士(日本診療放射線技師会)5

医用画像情報精度管理士(日本診療放射線技師会)1

臨床実習指導教員(日本診療放射線技師会)2

放射線被ばく相談員(日本診療放射線技師会)3

大腸CT撮影技師認定資格(日本消化器がん検診学会)1

消化器内視鏡技師(日本消化器内視鏡学会)2

ISLS脳卒中初期診療認定ファシリテーター(脳卒中神経学会)2

第一種作業環境測定士(日本作業環境測定協会)1

医療情報技師(日本医療情報学会) 1人

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