概要
当科は1985年に愛知県立尾張病院(のちの愛知県立循環器呼吸器病センター)に創設されました。2010年10月、病院統合により一宮市立市民病院にその機能を移行しました。創設以来施行した心臓・胸部大血管手術の総数は4500件を超えています。冠動脈疾患・弁膜症・心房細動・急性大動脈解離・胸部大動脈瘤など、すべての後天性心疾患および胸部大動脈疾患を対象としています。なお、腹部大動脈瘤・末梢動脈疾患・下肢静脈瘤は当院の血管外科で診療を行っています。
個々の患者さんの病態に応じた治療を選択していただけるよう、最新の治療手段を提供すべく努力をしています。現在の病状から選択可能な治療法まで丁寧に説明いたしますので、お気軽に受診していただければと思います。
診療内容
冠動脈疾患
重症冠動脈疾患に対応するためon-pump beating-heart法(人工心肺で循環動態を保ちつつ、心臓を動かしたままバイパスを吻合する方法)を主軸とした冠動脈バイパス術を行っています。
弁膜症
大動脈弁狭窄症に対し、確実性に留意した大動脈弁置換術を施行しています。また、2019年に経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を導入し、順調に経験を重ねています(循環器内科・血管外科との合同手術)。
僧帽弁閉鎖不全症に対しては僧帽弁形成術を積極的に施行しています。条件が整えば、右小開胸での3D内視鏡下僧帽弁形成術(MICS-MVP)を行っています。動脈硬化や大動脈弁閉鎖不全のないことなど適応は限られますが、この術式では胸骨正中切開を要しないため、創痛が少なく早期退院が可能となります。
不整脈
心房細動に対するメイズ手術を積極的に行っています。確実性・安全性を高めるための手技の工夫を専門誌に報告しています。
大動脈疾患
急性大動脈解離や胸部大動脈瘤に対し、人工血管を用いた大動脈置換術を施行しています。出血などの合併症を減らすため、術式に工夫を重ねています。また、血管外科と合同で胸部ステントグラフト内挿術にも積極的に取り組んでいます。この手術では胸を切らずにカテーテルで胸部大動脈瘤を治療することができます。従来であれば胸骨正中切開と側開胸を要した広範囲大動脈瘤に対し、正中切開のみによる弓部大動脈置換にステントグラフトを組み合わせ、低侵襲で治療を完遂することが可能になりました。臓器虚血を伴う急性大動脈解離や交通外傷による大動脈損傷に対しても良好な成績を得ています。
診療実績
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
心臓・胸部大血管手術総数 | 139 | 155 | 167 |
胸骨正中切開または右小開胸による心臓・胸部大血管手術 | 77 | 87 |
79 |
胸部大動脈ステントグラフト内挿術(血管外科との合同手術) |
8 | 10 | 21 |
経カテーテル的大動脈弁置換術 (循環器内科・血管外科との合同手術) |
54 | 58 | 70 |
スタッフ紹介
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病院事業管理者
松浦 昭雄 まつうら あきお
資格 日本外科学会外科認定医・指導医 日本胸部外科学会認定医・指導医 外科専門医 心臓血管外科専門医・修練指導者 日本心臓血管外科学会国際会員 緩和ケア研修会終了 専門分野 冠動脈疾患 弁膜症 胸部大動脈疾患 -
副院長
宮原 健 みやはら けん
資格 日本外科学会認定医・指導医 日本胸部外科学会認定医・指導医 外科専門医 心臓血管外科専門医・修練指導者 日本心臓血管外科学会国際会員 Infection Control Doctor 臨床研修指導医講習会修了 名古屋大学臨床准教授 専門分野 冠動脈疾患 弁膜症 胸部大動脈疾患 -
診療局長兼心臓血管外科部長
齋藤 俊英 さいとう しゅんえい
資格 日本外科学会認定医・指導医 外科専門医 心臓血管外科専門医・修練指導者 日本心臓血管外科学会国際会員 胸部ステントグラフト指導医 日本胸部外科学会評議員 関西胸部外科学会評議員 名大ネットワーク指導医講習会修了 名古屋大学臨床講師 専門分野 冠動脈疾患 弁膜症 胸部大動脈疾患 -
医長
大野 司 おおの つかさ
資格 外科専門医 心臓血管外科専門医 胸部ステントグラフト実施医 腹部ステントグラフト実施医 経カテーテル的大動脈弁置換術指導医 専門分野 冠動脈疾患 弁膜症 胸部大動脈疾患 -
医長
大塚 良平 おおつか りょうへい
資格 外科専門医 心臓血管外科専門医 経カテーテル的大動脈弁置換術指導医 緩和ケア研修会終了 専門分野 冠動脈疾患 弁膜症 胸部大動脈疾患
外来担当医表
診察室 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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午前06 | 大塚 | 宮原 | 齋藤 | 担当医 | 松浦 |
午前07 | 大野 |