概要
成人(高校生以降)の腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病など腎臓に関する内科的疾患を診断、治療する診療科です。血尿の原因となる結石、腫瘍など外科的疾患は泌尿器科が、中学生以前は小児科がそれぞれ担当しています。
慢性腎臓病は8人に1人が罹患しており、末期腎不全になるまで無症状の場合が多く、気づかないうちに罹患している可能性があります。一宮市医師会と協力して、慢性腎臓病の地域連携を積極的に行い、腎疾患の早期発見と評価、治療を行っています。治癒をめざすには早期からの診断治療が重要であり、その後の進行予防も含め、一宮市医師会と連携しています
診療内容
腎臓疾患とその治療
検尿異常、浮腫、腎機能障害などを指摘されたら当科を受診してください。 腎臓の大事な部位は「糸球体」という尿を作る場所と、作った尿に不要なものを排泄したり、必要なものを再吸収したりする「尿細管」と呼ばれる場所で、合わせて「ネフロン」と呼ばれます。 この糸球体に炎症が起こると腎炎を発症し、蛋白尿や血尿といった検尿異常を来します。時にはネフローゼ症候群と呼ばれる、大量の蛋白尿と浮腫をきたす病態に至ることもあります。 また、高血圧や糖尿病による慢性的な変化で糸球体が硬化し腎機能低下に至る、腎硬化症や糖尿病性腎臓病の罹患患者が増えています。特に腎硬化症は年々増加傾向で、透析導入に至る原疾患の第二位となっています(第一位は糖尿病性腎臓病です)。 これらの糸球体疾患の鑑別と適切な治療を目的に、腎生検が行われます。 腎機能低下の速さにより、腎臓病は急性腎障害、急速進行性糸球体腎炎、慢性腎臓病に分類されます。急性腎障害や急速進行性糸球体腎炎では原因究明のために腎生検を行い、組織診断を行います。組織診断結果から、適切な治療を選択します。 腎臓は尿を作り、不要になった代謝産物や水分を体外に排泄する臓器ですが、この排泄機能以外に、体に必要な物質を吸収したり、赤血球産生の指令を出すホルモン(エリスロポエチン)を分泌したり、骨代謝に必要なビタミンDを活性化する役割があります。 腎機能が低下すると、これらの機能が十分に行われないため、浮腫の出現や貧血進行、カルシウムなどの電解質異常を来たします。 これらに対する治療も外来で行っています。時にはかかりつけ医と併診する中で、かかりつけ医に治療を依頼することもあります。 慢性腎臓病は、進行すると最終的には腎代替療法(透析、移植など)が必要となります。腎代替療法についての教育や、腎不全身体障害者の手続きのご案内、透析治療の準備などを外来で行っています。
当院紹介後の流れ
(1)検尿異常、浮腫、急性または急速進行性の腎機能障害
腎生検、免疫抑制による加療、栄養指導をいずれも入院で行います。しばらく当科に通院し、免疫抑制治療が終了した場合には、かかりつけ医での診療に移行します。
(2)慢性腎臓病
①G3α期(eGFR>45):保存期治療の確認、栄養指導などを当科で施行し、かかりつけ医での診療を継続します。
②G3b期(eGFR<45):腎機能低下速度が早い場合には当科とかかりつけ医と併診します。
③G4(eGFR<30)およびG5(eGFR<15):当科主体で保存期治療を行います。また、保存期治療強化、栄養指導、身体障害者申請(eGFR<20)、看護師による腎代替療法選択説明などを行います。
- 血液透析:待機的内シャント手術、ケースワーカーによる維持透析施設紹介などの準備を進めます。必要なタイミングで、入院にて血液透析への導入を行います。2週間程度の入院となります。
- 腹膜透析導入:待機的に腹膜透析カテーテルを留置し、必要なタイミングで、入院にて腹膜透析導入を行います。腹膜透析は自己で行う治療のため、操作方法習得を含め3〜4週間程度の入院期間を要します。退院後は、当院外来に月に1−2回通院します。 残腎機能が落ちてくると、腹膜透析のみでは毒素が十分に除去できなくなり、その際には血液透析を組み合わせる治療(ハイブリッド)、又は血液透析に完全に移行する必要があります。
- 先行的腎移植:透析導入前に家族をドナーとして生体腎移植を行う治療法です。eGFR15〜20で考慮します。主に名古屋大学附属病院腎臓内科、泌尿器科と連携の上進めていますが、患者さんの希望する施設への紹介も考慮します。
検査・治療・手術
- 経皮的腎生検(5日間入院、名古屋大学腎臓内科での病理診断)
- 内シャント作成(3日間入院)
- その他の特殊治療
特殊体外循環(血漿交換療法、血液吸着療法など)、集中治療室における緩徐持続透析、結核などの感染症閉鎖病棟における透析などを行っています。また、各科との連携のもと、小児科領域の腎生検は小児科で、人工血管によるシャント作成は血管外科で、腹膜透析カテーテル挿入は外科で行っています。
診療実績
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
腎生検(件数) | 75 | 79 | 48 |
血液透析(のべ数) | 4881 | 4815 | 5515 |
血液透析導入数 | 65 | 80 | 74 |
腹膜透析導入数 | 7 | 9 | 5 |
CHDF(人数) |
76 | 65 | 75 |
PMX (人数) | 24 | 35 | 25 |
PE (人数) | 10 | 7 | 11 |
DFPP(人数) | 3 | 0 | 0 |
PA (人数) | 0 | 1 | 0 |
GCAP(人数) | 5 | 1 | 3 |
内シャント作成(件数) | 45 | 83 | 51 |
ドクターインタビュー
スタッフ紹介
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診療局長兼腎臓内科部長兼血液浄化センター長
新田 華代 あらた はなよ
資格 日本腎臓学会専門医・指導医 日本内科学会認定医 日本透析医学会専門医・指導医 日本内科学会総合内科専門医 内科指導医 臨床研修指導医 名古屋大学医学部臨床講師 専門分野 腎臓内科全般 透析 -
副医長
堀 貴洋 ほり たかひろ
資格 日本内科学会認定内科医 日本腎臓学会腎臓専門医 日本透析学会透析専門医 専門分野 腎臓内科全般 透析 -
医員
安田 真奈 やすだ まな
専門分野 腎臓内科全般 透析 -
医員
岩田 麻里 いわた まり
専門分野 腎臓内科全般 透析 -
医員
藤枝 久美子 ふじえだ くみこ
専門分野 腎臓内科全般 透析
外来担当医表
診察室 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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午前01(再診) | 堀 | 新田 | 岩田 | 新田 | 安田 |
午前02(紹介・初診) | 新田 | 堀 | 安田 | 岩田 | 堀 |
午後01(再診) | 堀 | 新田 | 岩田 | 新田 | 安田 |
午後02(再診) | 堀 | 安田 | 藤枝 | 堀 |