概要
皮膚はヒトの体で最も大きな臓器です。皮膚そのものの病気だけではなく内臓の障害をしらせることもある大事な役割があります。「このくらいのことで病院に行くのはちょっと」と思っていることでも、体の中の異変をあらわしている場合があります。例えば内蔵や血液の悪性腫瘍などが皮膚の状態から推察され診断にいたることもあります。
当科では皮膚に生じた病気全般を取り扱っています。皮膚腫瘍、アレルギーの関連するものを含めた炎症疾患、膠原病まで幅広く診療を行っています。
外来診療ではさまざまな皮膚疾患に対して皮膚生検、パッチテスト、血液検査などをおこない診断していきます。また入院治療は良性、悪性腫瘍や植皮などの手術のほか、帯状疱疹、水痘、蜂巣織炎などの各種感染症、重症薬疹、膠原病などに対して行っており、10~20人ほど入院しています。
診療内容
湿疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、薬疹などアレルギーに関連する皮膚病をはじめ、乾癬や水疱症などの免疫異常に関連する病気、尋常性座瘡(にきび)、伝染性膿痂疹(とびひ)、蜂巣織炎などの細菌感染症、帯状疱疹、水痘、はしかなどのウィルス感染症、足白癬(みずむし)、癜風などの真菌感染症など、また全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、強皮症などの膠原病、皮膚の良性、悪性腫瘍など、皮膚に関連する病気全般を診ています。皮膚からわかる内臓疾患については専門の科と連携して治療にあたっています。
検査
色素病変(色のついた皮膚腫瘍)についてはまず視診、ダーマスコピーを用いた傷をつけない検査を行い、必要に応じて皮膚生検を行います。
皮下腫瘍については超音波検査やCT、MRIなどを用いて診断していきます。
アレルギー検査としては血液検査でIgE(RAST、RIST)などの測定や、パッチテスト、プリックテストなどによるアレルゲンの特定をします。重症の薬疹については入院にて負荷試験をすることもあります。
その他光線過敏検査などを行っています。
先天性の皮膚疾患については名古屋大学と連携して遺伝子検査を行います。
膠原病について一般的に調べることが困難な特殊な自己抗体についても名古屋大学と連携し検査を行っています。治療
当院の特徴としては3種類のレーザー装置、3種類の紫外線照射装置、2種類のイオントフォレーサー、高周波メスが皮膚科外来にあり各種疾患に用いています。
一般的な病気に対しては適切な外用薬、内服薬を処方いたします。外用薬の使用法に関しては特別な使用方法を行う場合は使用法の説明書などをお渡しして、その場で説明いたします。
爪白癬など難治性のものは通常の内服療法に加えてグラインダーを用いたりする方法も行っています。
尋常性疣贅(いぼ)に対しては液体窒素、トリクロロ酢酸、CO2レーザー、その他感作療法などを行っています。尋常性疣贅の治療については10種類程度の方法を状態に応じて選択しています。伝染性軟属腫(みずいぼ)には数の多い場合は痛み止めのシールを貼った後にとるような方法や硝酸銀などを用いた治療を行っています。
尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、白斑などに対してはUVA、ナローバンドUVBもしくはエキシマライトを用いた光線療法なども行っています。難治性の脱毛にはSADBEという感作物質を用いた感作療法を行っています。
難治性のざ瘡や毛孔性苔癬についてはケミカルピーリングを行っています。
太田母斑、異所性蒙古斑、老人性色素斑などの色素性病変に対してはQスイッチアレキサンドライトレーザーを用いた治療を行っています。
赤あざ、血管腫、毛細血管拡様症についてはダイレーザー(VbeamⅡ)を使用し、小児血管腫については小児科と連携してプロプラノロール内服を用いた治療を行っています。
肝斑などのシミに対してはハイドロキノン配合軟膏などを用いています。レーザーを用いた治療については自費になりますので相談のうえおこなうこともあります。
その他多汗症、帯状疱疹後神経痛などにはイオントフォレーシスという治療も行っています。
乾癬に対する生物学的製剤による治療を行う施設として2010年より登録されており現在までに約270名の患者さんが当院で治療を開始されています。現在までに認可された11種類の生物学的製剤と顆粒球除去療法など保険適応のある治療はすべて当院で行うことができます。
悪性腫瘍についてはセンチネルリンパ節生検を含めた外科的治療に加えて新しい抗癌治療薬である免疫チェックポイント阻害剤やBRAF阻害剤、MEK阻害剤などを用いた治療にも対応しています。
各種治療は各々の状況に応じて1つの方法にこだわらず、患者さんと相談の上で行っていますので、診察の際におたずねください。
手術
ほくろなどの良性皮膚腫瘍、アテローマ、脂肪腫などの良性皮下腫瘍に対しては方法を十分説明した上で、手術を行っています。皮膚有棘細胞癌、悪性黒色腫など皮膚悪性腫瘍は診断と病期の判定を行った上で説明を行い、手術しています。
熱傷や皮膚潰瘍に対してはそのサイズと部位に合わせた植皮術を行っています。
陥入爪(巻き爪)は症状に応じて治療を選択しています。フェノールによる部分的に爪を生えなくさせる手術、緩衝剤を爪にあてるガター法、CO2レーザーとアクリル樹脂を併用する方法、弾性ワイヤーを用いた方法などを行っています。
各種手術は主に手術室で行いますが、日帰り手術が基本になります。植皮術や悪性腫瘍の手術、広範囲の手術を行った場合は入院になる場合があります。どちらの場合でもまず診断をつけ、その後に手術日を決定して行っていますので、来院の当日に手術になることは通常ありません。日帰り手術の場合には翌日以外は抜糸まで特に通院の必要はありません。
診療実績
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
皮膚生検 | 1006 | 1079 | 1032 |
悪性腫瘍 | 90 | 98 | 96 |
手術件数(切開術など含む) |
307 | 331 | 304 |
レーザー治療 | 218 | 169 | 174 |
紫外線治療 | 1519 | 1533 | 1506 |
生物学的製剤使用患者 延べ332名
膠原病患者数 404名
診療コラム
ドクターインタビュー
スタッフ紹介
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副院長兼皮膚科部長
満間 照之 みつま てるゆき
資格 日本皮膚学会専門医・指導医 日本アレルギー学会専門医 緩和ケア研修会修了 日本医師会認定産業医 名古屋大学皮膚科非常勤講師 名古屋大学医学部臨床准教授 専門分野 皮膚科全般 アレルギー 膠原病 皮膚一般 -
医員
堀田 美麗 ほった みらい
専門分野 皮膚科全般 -
医員
有沢 友希 ありさわ ゆき
資格 緩和ケア研修会修了 専門分野 皮膚科全般 -
医員
多湖 真帆里 たご まほり
専門分野 皮膚科全般 -
医員
坂井田 恵利 さかいだ えり
資格 緩和ケア研修会修了 専門分野 皮膚科全般 -
医員
鈴木 須真子 すずき すまこ
専門分野 皮膚科全般 -
医員
牧 卓矢 まき たくや
専門分野 皮膚科全般
外来担当医表
診察室 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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午前08 | 堀田 | 牧 | 有沢 | 有沢 | 堀田 |
午前10 | 満間 | 満間 | 坂井田 | 満間 | 坂井田 |
午前11 | 多湖 | 鈴木 | 牧 | 多湖 | 牧 |
午前12 (初診) |
牧 | 坂井田 /有沢 |
堀田 | 鈴木 | 多湖 |
午後 (特殊) |
満間 | 堀田 | 有沢 |