整形外科とは
整形外科は運動器の疾患を扱う診療科です。身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる「運動器」の機能的改善を重要視して治療する外科で、背骨と骨盤というからだの土台骨と、四肢を主な治療対象にしています。関節リウマチおよびリウマチ性疾患を扱う「リウマチ外科」、背骨と脊髄神経を扱う「脊椎外科」、手〜肘を扱う「手の外科」と「肩関節外科」、下肢の「股関節外科」、「膝関節外科」と「足の外科」、新生児〜小児期に特長的な運動器の異常を扱う「小児整形」、スポーツによるけがや障害を扱う「スポーツ医学」、腫瘍(できもの)を扱う「骨・軟部腫瘍外科」と多数の専門分野が整形外科のなかにはあります。
スポーツ傷害や交通外傷、労働災害などに代表される打撲、捻挫、骨折などの外傷は勿論のこと、変形性変化を伴う加齢疾患、骨粗しょう症、関節リウマチ、運動器の腫瘍、運動器の先天異常などの先天性疾患など、新生児時から老年まで幅広い患者層を扱います。
当科では大きく分けると以下のような専門分野や手術に対応しています。
関節リウマチ:関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、脊椎関節炎(強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎、炎症性腸疾患関連関節炎)、掌蹠膿疱症性骨関節症、変形性関節症の手術療法、膠原病に伴う関節症状を専門的に治療します。古くより整形外科においてリウマチ専門外来を開設して治療に当たっておりましたので、尾張北部地区では最大の患者数を誇り、2017年4月よりリウマチ科を標榜するに至りました。四肢関節の腫脹や痛みについては通常の整形外科疾患と区別する必要がありますので、まずは整形外科を受診していただき、適宜リウマチ科において診療を行います。また、診療枠の関係で整形外科にて診療を行うこともありますが、整形外科医がリウマチ科医を兼務しており、すべてリウマチ専門医の管理のもと治療します。詳細についてはリウマチ科紹介をご参照ください。
外傷外科:骨折を中心とした外傷治療については、最新の知見を基に治療方法を検討し、外傷の状態や希望に応じて、もっとも適切と思われる方法を選択し、早期の社会復帰を目指しています。3次救急指定病院であるため、多発外傷、高エネルギー外傷の治療にも対応しております。高齢化が進む中で、高齢者に多い大腿骨近位部骨折の発生件数は年々増加して社会問題化しています。同骨折に対しては、寝たきり・認知症の増悪などを予防するためにできる限り早期に手術を行い、早期離床を目指して治療をしています。また、連携クリニカルパスを用いて、スムーズに後方病院(リハビリテーション病院)へ転院ができるように工夫をしています。
人工関節手術:変形性股関節症や変形性膝関節症、関節リウマチなどの疾患により、日常生活において関節の疼痛や可動域制限など支障を生じ、保存的治療では限界にある場合に人工関節手術の適応となります。クリーンルームを用いるなど総合的に周術期の感染対策を行い、貯血式自己血輸血(本人の血液を自身の手術のために保存する方法)を積極的に行い同種血輸血を回避するなど、人工関節手術を安全に行う環境整備をしています。連携クリニカルパスを用いて、スムーズに後方病院(リハビリテーション病院)へ転院ができるように工夫をしています。人工股関節(THA)、人工膝関節(TKA)に関しては年間約50例、人工骨頭は年間約70例実施しています。さらにはリウマチ科のある当院では人工肘関節や人工肩関節にも対応しています。
手の外科:上肢(手指、手関節、肘関節)を中心とした専門外来です。上肢の障害で多くみられるばね指、手根管症候群、肘部管症候群に対して患者さんの症状と目的に合わせた治療を行っています。外傷では上肢の骨折や腱損傷などに対して治療を行います。また当院はリウマチ科を有し、多数の関節リウマチ患者さんが通院しているため、関節リウマチによる手指・手関節の変形や機能障害についても積極的に治療を行なっています。名古屋大学から週1回、手の外科専門医による専門外来を開設していますので、まずは通常の整形外科に受診していただき、より専門的な治療や診断が必要と診断された場合には専門外来にて診療を行います。
膝・肩・スポーツ:膝関節・肩関節の疾患、関節鏡手術、そしてスポーツ外傷・障害を専門とした外来です。膝関節では半月板損傷や靱帯損傷、軟骨損傷など、肩関節では反復性肩関節脱臼や腱板断裂、足や肘関節、肩関節に生じるスポーツ障害(例:三角骨障害・野球肘・野球肩)などを対象としています。これらの疾患に対して関節鏡などの手術療法だけではなく、保存療法・自宅での自主リハビリなども含めて総合的に治療方針を決定してきます。またスポーツをされている患者さんに対しては、個々人の目標に合わせた治療方針を検討していきます。名古屋大学から隔週で専門医による専門外来を開設していますので、まずは通常の整形外科に受診していただき、より専門的な治療や診断が必要と判断された場合には専門外来にて診療を行います。
脊椎外科:腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症・腰椎分離症・頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性脊髄症、後縦靭帯骨化症や黄色靭帯骨化症など一般的な脊椎疾患の他、脊髄腫瘍、関節リウマチに伴う脊椎疾患による首・背中・腰の痛みや手足のしびれなどを対象としています。江南厚生病院から週1回、専門医による専門外来を開設していますので、まずは通常の整形外科に受診していただき、より専門的な治療や診断が必要と判断された場合には専門外来にて診療を行います。
小児整形外科:大きく分けると先天的な疾患(生まれつきの病気)と外傷(骨折脱臼)を含めた後天的な疾患(生まれてから生ずる病気)にわけられます。名古屋大学から月1回、専門医による専門外来を開設していますので、まずは通常の整形外科に受診していただき、より専門的な治療や診断が必要と判断された場合には専門外来にて診療を行います。肘・手の外科、脊椎外科(側彎症など)などについては適宜それぞれの専門外来で対応します。
手術実績:2020年度の695件中、主な手術の内訳を以下に示します。
外傷(骨折含む) | 547件 |
上肢・手(外傷除く) | 54件 |
人工関節全置換術(外傷除く) | 30件 |
スポーツ(関節鏡含む) | 37件 |
整形外科 外来診療医担当表
休診日:土・日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
受診受付時間 :午前8時~11時15分(全科) ※ただし、急患の方は、随時受付いたします。
スタッフ紹介
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こんな病気を取り扱います
関節リウマチ、変形性関節症、スポーツ整形、手の外科、脊椎外科、小児整形外科、その他(外傷など)
施設認定の状況
日本整形外科学会教育認定施設、日本リウマチ学会教育認定施設
整形外科で手術を受けられる患者さんへ
日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)構築に関する研究について
研究機関 一宮市立市民病院 整形外科
研究責任者 花林雅裕 (部長)
研究分担者 岸本烈純 大島明 大野公寛 山本浩登 小牧健太郎
このたび一宮市立市民病院 整形外科では、運動器の病気で入院・通院されていた患者さんの診療情報を用いた研究を実施しております。この研究を実施することによる患者さんへの新たな負担は一切ありません。また、患者さんのプライバシーの保護については法令等を遵守して研究を行います。
あなたの試料・情報について、本研究への利用を望まれない場合には、担当医師にご連絡ください。
1.研究の目的 及び 意義
この研究の目的は、運動器疾患の手術に関する大規模データベースを作り上げることです。整形外科が扱う運動器疾患は、小児から高齢者まで幅広い方々を悩ませ、多くの方の健康寿命を損なう大きな原因となっています。その治療である手術の件数も年々増加していますが、その全国規模の全容を捉えられるデータベースが
まだありません。全国の整形外科で情報を共有できるシステムを作り上げることは、有効な治療法や手術の安全性を科学的に確立するために大変有用です。日本整形外科学会が作りあげるこの大規模データベースに参加・協力し、より良い治療を探って参ります。
2.研究の方法
1)研究対象者
2020年4月~2030年3月の間に一宮市立市民病院 整形外科において、運動器の手術を受けられた方を対象とします。人工関節手術、関節鏡視下手術、脊椎手術、骨折治療の手術などが対象となります。
2)研究実施期間
2020年4月1日 ~ 2030年3月31日
3)研究方法
インターネット上のデータベースへ登録します。
4)使用する試料・情報
◇ 研究に使用する試料
無し
◇ 研究に使用する情報
匿名化したID、年齢、性別、ハッシュ値(氏名、性別、生年月日などから算出される文字列)、疾患情報、手術情報、手術・麻酔時間、手術日、術者情報、看護師数、技師数、治療成績、使用した器材・インプラント など。情報を提供して下さった患者さん個人が特定できないよう、これらの情報は完全に匿名化されてデータセンターへ提出されます。
調査項目の詳細は、JOANRのホームページ(https://www.joanr.org/about/patient)の「情報公開項目」をご覧ください。
5)試料・情報の保存
登録されたデータはデータセンター(日本整形外科学会)の責任下に保存されます。保存期間は本研究終了(あるいは中止)後5年間とします。
6)研究計画書の開示
研究に関する情報(研究計画書等)を日本整形外科学会ホームページ(https://www.joa.or.jp)およびJOANRホームページ(https://www.joanr.org)に公開します。
7)研究成果の取扱い
ご参加頂いた患者さんの個人情報がわからないようにした上で、診療報酬改訂に向けた実態調査などの政策対応、専門医制度のための症例データベース、医療機器の安全性向上に資するデータベース構築、また学術論文などの公表に日本整形外科学会員又は関連学会員が用います。
8)問い合わせ・連絡先
この研究についてご質問等ございましたら、下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの試料・情報が研究に使用されることについてご了承いただけない場合には研究対象とはしませんので、下記にお申し出ください。試料・情報の使用を断られても患者さんに不利益が生じることはありません。なお、研究参加拒否の申出が、既に解析を開始又は結果公表等の後となり、当該措置を講じることが困難な場合もございます。その際には、十分にご説明させていただきます。
一宮市立市民病院 整形外科
研究担当医師 花林雅裕
連絡先(電話番号) 0586-71-1911(平日:9時~17時)
9)外部への試料・情報の提供
(1) 保存された情報等は他の医学研究への利用を目的に提供されることがあります。その際にはデータの提供の可否について日本整形外科学会は倫理委員会の意見を聞き、そこで適切と判断された場合に限ります。
(2) 情報を他の営利団体、民間の機関(規制機関など)に提供する場合があります。登録した医療材料に有害事象や不具合が起き、医学的・人道的な観点からその情報を製造販売企業や審査機関に提供すべきと判断される場合です。
いずれも提供されるデータは、データセンターに登録・保管されている情報で、研究に参加して下さった患者さんの個人を特定できる情報は含まれていません。
10)研究組織
一宮市立市民病院 整形外科
〒491-8558 愛知県一宮市文京2-2-22
公益社団法人 日本整形外科学会
理事 種市 洋 (症例レジストリー委員会担当)
〒113-8418 東京都文京区本郷2-40-8
Tel. 03-3816-3671 Fax. 03-3818-2337