外科

外科とは

西尾張地区の中核病院として、地域医療に貢献できるよう外科疾患全般にわたって診療を行っています。私たちの行っている診療の特色を紹介します。

(1)がん診療拠点病院として
地域がん診療拠点病院として、がん治療には特に力を入れています。
がん、特に進行がんに対する手術では転移している可能性のあるリンパ節を根こそぎ取り除き(リンパ郭清)、がんを決して残すことのない切除(根治切除)を行う必要があります。私たちはがんに対して妥協のない切除を行い、がんからの根治を目指します。
また、従来、進行しすぎて切除できないようながんや、切除できたとしても治る可能性の低かった膵臓がんや進行胃がんに対しても、手術前に抗がん剤治療や放射線治療を行うことで、治る可能性がより高い手術を目指しています。
一方で、比較的早期のがんに対しては、個々の患者さんの状況に応じて、手術前の機能をできるだけ温存する手術や全身への侵襲の少ない手術を行います。
もちろん、手術だけでなく、抗がん剤治療や緩和医療にいたるまで、外来化学療法室がん相談支援センターとも連携をはかりつつ、市民の方々が地元にいながらにして安心して最善かつ最新の治療を受けていただけるよう、スタッフ一同、日夜努めています。

(2)手術支援ロボット(ダヴィンチ)の導入
 尾張西部医療圏初となる手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いた直腸がん手術を2019年11月から開始しました。当院外科では、患者様の負担の少ない手術(低侵襲手術)の提供を目指し、腹腔鏡を用いた手術を積極的に行い、良好な治療成績をおさめてきました。
腹腔鏡手術をロボット(ダヴィンチ)支援下に行うことで更なるメリットをもたらせてくれます。
直腸がん手術をロボット(ダヴィンチ)支援下に行うことは高解像度の立体的な画像、自在に曲がる鉗子、手振れを除去する機能などにより、腹腔鏡手術よりもさらに精度の高い手術が可能となります。腹腔鏡手術では難易度の高いとされる、深くて狭い、骨盤内操作に対してダヴィンチを用いることで今まで以上の精緻な手術を実施可能です。その結果、術後の排尿障害や性機能障害が減少すると言われています。
胃がん手術をロボット(ダヴィンチ)支援下に行うことは前述の機能により、腹腔鏡手術より正常組織を傷つけることなく、リンパ節を含む周囲組織をきれいに切除することができます。その結果、術後最大の合併症である膵液ろうが減ることが証明されています。
 手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いたロボット支援下手術はがんに対する知識、手術手技はもちろんのこと、腹腔鏡手術に精通していることが重要です。この手術には日本内視鏡外科技術認定医かつ、Intuitive Surgical社からロボット手術の認定を受けた医師が手術を担当しております。今後更なる治療成績の向上と患者様の生活の質(QOL)の確保を目指し、チーム一丸となって研鑽してまいります。

(3)腹腔鏡下手術の導入

私たちは患者さんにとって苦痛の少ない腹腔鏡下手術の導入を積極的に進めており、胆石症、虫垂炎、早期胃がん、大腸がん、鼠径ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア、イレウスに対する手術、さらには肝臓や膵臓の手術などにもその適応を広げています。
腹腔鏡下手術では、小さな傷で手術が可能なので、手術の後の痛みが少なく、回復が早くなります。傷跡も小さくて将来的に目立たなくなります。また、一部の術式では、一つの穴だけで行う単孔式手術も取り入れています。近年では多くの患者さんが小さな傷で病気を克服されています。

特に、肝臓の手術では、当院は他の施設に先駆けて、腹腔鏡下手術を数多く経験しており、平成29年には「亜区域切除以上の肝切除」を腹腔鏡で行うための施設基準を取得し、より難易度の高い腹腔鏡下肝切除を施行しています。
肝臓の手術では、病変の位置や切除する領域を正確に把握する必要があります。当院では、ICG蛍光ナビゲーションシステムを用いて、ワンランク上の安全確実な手術を目指しています。

【通常の腹腔鏡システム使用時】
腫瘍の位置がやや確認しづらい

【ICG蛍光ナビゲーションシステム使用時】
腫瘍部分が緑色に蛍光されることで位置を正確に把握できます

切除予定の領域を栄養する血流を遮断した後に、ICG蛍光システムを用いることで、肝臓が色分けされて、切離するラインが明確に確認できます。

また、従来難易度が高いとされてきた膵臓の疾患に対しても、積極的に腹腔鏡下手術を行なっております。
それぞれの手術の傷の違いは以下の通りです。


(4)術後早期回復プログラムと手術部位感染への取り組み
私たちは手術を受けられる患者さんの苦痛を少しでも和らげ、早く回復していただけるように、術後早期回復プログラム(ERAS)の考えを積極的に取り入れています。例えば、当科で手術を受けられる患者さんは手術の2時間前まで経口補水飲料を飲んでいただいております。これにより患者さんは喉の渇きや空腹感を和らげることができますし、手術前に点滴を行う必要がありません。術前経口補水療法ついてはこちらをご参照ください。
手術後の痛みや吐き気に対しては十分に予防し、患者さんの苦痛が和らぐよう心がけていますし、ほとんどの手術でガーゼ交換や抜糸のいらない方法で傷を閉じています。また、口腔ケアやリハビリテーションを積極的に取り入れるなど、少しでも早く元の生活を取り戻していただけるよう数々の対策をしています。
さらに、私たちは手術部位感染(SSI)の予防にも積極的に取り組んでおり、成果を挙げています。詳しくはこちらをご参照ください。

(5)専門科との連携
近年では生活習慣病(糖尿病、高脂血症、高血圧など)やこれと関わりが深い脳血管疾患、心臓病やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの疾患を持つ患者さんも増えてきており、総合病院の特徴を生かし、これらの専門科と連携しつつ治療を行っています。

(6)患者さん中心のチーム医療
治療方針に関しては、各疾患の診療ガイドラインに基づいて行っていますが、一人一人の患者さんが最善の治療が選択できるよう、ご本人のご意向を踏まえたうえで医師・看護師・薬剤師・理学療法士・ケースワーカーなどで構成される「医療チーム」により検討を重ねています。
医療の質の向上、標準的・効率的な治療の提供、患者中心の医療の実践を目指すため、積極的にクリニカルパス(治療計画表)を導入し、患者さんと医療者で治療の方向性を共有しています。クリニカルパスについての詳細はこちらをご参照下さい。

 

(7)名古屋大学附属病院とのタイアップ 
当科は名古屋大学附属病院の関連施設であり、必要があればタイアップして治療を受けていただくことも可能です。
さらに私たちは、さまざまな臨床研究に参加しており、他の医療施設と力を合わせ、治療成績の向上を目指しています。

(8)明日の医療を支えるために
当院は外科領域専門研修プログラムを持つ専門研修基幹施設であり、明日の日本の医療を背負って立つ人材を指導し育成するという役割を担っています。
 研修医や専攻医への教育は明日の医療につながるだけでなく、チーム医療の質の向上や新しい治療への柔軟性を維持する意味でも極めて有意義です。
 現在10名の常勤医師が診療にあたっていますが、全ての手術に副医長以上の指導医が関与しています。
 今後も地域の方々に安心して手術を受けていただけるよう、質の高い安全な医療を提供していきたいと考えています。

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一宮市立市民病院外科チーム診療指針

一人一人の患者さんに寄り添い、質の高い医療を実践します
他職種を互いに尊重しあい、より良いチーム医療を目指します
情報を共有し、安全な医療を継承します

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外科 外来診療医担当表

休診日:土・日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
受診受付時間:午前8時~11時15分(全科)
※ただし、急患の方は随時受け付けます。

外科
外来診療医担当表はこちら

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スタッフ紹介

氏名 橋本 昌司
職名 副院長

資格・専門領域等

専門分野:
消化器外科、肝胆膵外科

資格:
医学博士
日本外科学会専門医
日本消化器外科学会認定医
麻酔標榜医
氏名 阪井 満
職名 外科部長

資格・専門領域等

専門分野(得意とする診療):
消化器外科(特に肝臓・胆道・膵臓領域を中心に診療しています)

資格:
医学博士
日本外科学会指導医
日本外科学会専門医
日本消化器外科学会指導医
日本消化器外科学会専門医
日本消化器外科学会消化器がん治療認定医
日本肝胆膵外科学会評議員
東海外科学会評議員
日本医療機能評価機構医療クオリティマネジャー養成セミナー修了
名大ネットワーク指導医講習会修了
緩和ケア研修会修了
日本静脈経腸栄養学会TNT研修会修了
名古屋大学医学部臨床講師
氏名 村井 俊文
職名 内視鏡外科部長

資格・専門領域等

専門分野(得意とする診療):
胃、大腸、内視鏡外科

資格:
医学博士
日本外科学会指導医
日本外科学会専門医
日本消化器外科学会指導医
日本消化器外科学会専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本消化器外科学会消化器がん治療認定医
名大ネットワーク指導医講習会修了
緩和ケア研修会修了
日本静脈経腸栄養学会TNT研修会修了
内痔核治療法研究会主催四段階注射法(ALTA療法)講習会修了
日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科領域)
da Vinci Xi Certification取得/Console Surgeon
氏名 末岡 智
職名 医長

資格・専門領域等

専門分野(得意とする診療):
胃、大腸、内視鏡外科

資格:
日本外科学会専門医
日本消化器外科学会専門医
日本消化器病学会専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本消化器外科学会消化器がん治療認定医
名大ネットワーク指導医講習会修了
緩和ケア研修会修了
日本静脈経腸栄養学会TNT研修会修了
da Vinci Xi Certification取得/First Assistant
氏名 田中 健士郎
職名 副医長

資格・専門領域等

資格:

所属学会:

氏名 藤田 恵三
職名 医員

資格・専門領域等

資格:
日本外科学会専門医

所属学会:
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本癌治療学会
日本胃癌学会
日本内視鏡外科学会
日本臨床外科学会
日本ヘルニア学会
氏名 佐藤 文哉
職名 医員

資格・専門領域等

資格:

所属学会:
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本癌治療学会
日本胃癌学会
日本内視鏡外科学会
日本臨床外科学会
日本ヘルニア学会
日本腹部救急外科学会
氏名 高島 幹展
職名 医員

資格・専門領域等

資格:

所属学会:
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本癌治療学会
日本胃癌学会
日本臨床外科学会
日本内視鏡外科学会
氏名 平山 泰地
職名 医員
 
氏名 前田 拓也
職名 医員
 
氏名 久野 美有
職名 医員

資格・専門領域等

資格:
専門領域:

 

氏名 永田 二郎
職名 非常勤医師

資格・専門領域等

専門分野(得意とする診療):
胃、大腸

資格:
医学博士
日本外科学会専門医
日本外科学会指導医
日本消化器外科学会専門医
日本消化器外科学会指導医
日本腹部救急医学会評議員
日本腹部救急医学会暫定教育医
愛知臨床外科学会評議員
東海外科学会評議員
名古屋大学医学部医学科臨床准教授
麻酔科標榜医
氏名 横田 一樹
職名 非常勤医師

資格・専門領域等

専門領域:
小児外科
氏名 城田 千代栄
職名 非常勤医師

資格・専門領域等

専門領域:
小児外科

 

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こんなときに、ご相談ください

良性疾患・悪性疾患を問わず、治療方針にお悩みの方やそのご家族のみなさまでセカンドオピニオンをご希望される場合、お気軽に外科外来を受診してください。

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こんな病気を取り扱います

各種悪性疾患(胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、胆道がん、食道がん、乳がんなど)をはじめとし、胆石症、急性虫垂炎、鼠径ヘルニア、各種外傷疾患など幅広く診療しています。ここでは代表的な疾患の当科における治療につき紹介します。

① 食道がんについて
食道がんに対する治療は、日本食道学会による「食道癌診療・治療ガイドライン」に基づいて行っています。大きく分けて4つの治療法があります。
(1)内視鏡治療(2)手術(3)化学療法(4)放射線治療
治療法ごとに長所短所があるため、がんの進行度(病期)によってこれらの治療法を使い分けますが、食道がんに対しては手術が治療の中心となります。
当院では、0期(粘膜内癌)は内視鏡治療を、IV期(がんが周囲の臓器に及ぶか、遠隔転移を有する)は放射線化学療法を適応としますが、その他の病期では手術が第一選択となります。一方、I、II、III期の食道癌(扁平上皮癌)に対しても、化学放射線療法によって手術に近い治療成績が得られる可能性もあり治療法の決定に際して患者さんのご希望、全身状態(既往症など)を考慮しI、II、III期でも放射線化学療法を行うこともあります。また、II、III期の患者さんに術前補助化学療法を行うと術後の成績が良くなる(生存率が高くなる)ことが明らかとなり、Ⅱ、Ⅲ期の患者さんには術前化学療法を行っております。
当院は名古屋大学第2外科の関連病院であり、大学病院と連携して治療をお勧めすることもあります。

② 胃がんについて
胃がんに対する治療は日本胃癌学会による「胃癌治療ガイドライン」に基づいて行っており、消化器内科の術前診断をもとに治療方針を決定しています。内視鏡による胃がんの切除(内視鏡下粘膜切除術・内視鏡下粘膜下層剥離術)は消化器内科で行われます。内視鏡的切除の適応とならない患者さんは外科手術の対象となります。
早期胃癌に対しては積極的に腹腔鏡手術を行っています。2017年の当院における腹腔鏡手術の割合は胃癌手術全体の40%でした。また高齢者や、心臓、肺、糖尿病、腎不全などの合併症を有する患者様においても、内科や麻酔科と連携し全身麻酔が安全に実施できると判断されれば、積極的に腹腔鏡手術を行っております。進行胃癌は手術単独では根治が難しいことがあります。Stage II-IIIの患者さんに対しては術後に、がんの再発を予防するための抗がん剤治療を行うことがあります。がんの進行度によっては術前に抗がん剤治療を行った後、手術を行うこともあります。ステージ IVの患者さんの中には抗がん剤を駆使し根治手術を目指すconversion therapyも積極的に取り組んでいます。手術後に再発が確認された患者さんに対しては、がんの進行を制御するための抗がん剤治療を行っています。

③ 大腸がんについて
大腸がんに対する治療は大腸癌研究会による「大腸癌治療ガイドライン」に基づいて行っています。一部の早期大腸がんに対しては、消化器内科による内視鏡治療(内視鏡下粘膜切除術・内視鏡下粘膜下層剥離術)が考慮されます。内視鏡的切除の適応とならない患者さんは外科手術の対象となります。高齢、心臓、肺、糖尿病、腎不全などの合併症を有する患者さんにおいても、内科や麻酔科と連携し全身麻酔が安全に実施できると判断されれば、積極的に腹腔鏡手術を行っており、2017年の当院における腹腔鏡手術の割合は大腸がん手術全体の70%でした。
大腸がんの中でも結腸がんと比較して直腸がんは悪性度が高い(再発転移をきたす頻度が高い)ことが知られています。このため直腸がんに対しては根治性の向上と機能の温存を目指して手術前に抗がん剤治療や放射線治療を提案させて頂く場合があります(進行度と全身状態によります)。 直腸がんの部位・進行度・肛門括約筋機能などに問題がなければ、肛門温存術式である括約筋間直腸切除術(ISR)を腹腔鏡下に行っておりますので、「肛門を温存できない、永久人工肛門になる。」と言われている患者さんも是非一度相談ください。

④ 肝臓がん、転移性肝腫瘍および肝のう胞について
肝臓の悪性腫瘍としては、肝臓でできた肝臓がん(肝細胞がんや胆管細胞がん)と他臓器のがん(例えば大腸がん)が血液の流れに乗って肝臓に転移したもの、すなわち転移性肝腫瘍があります。
 治療法としては内科的治療(例えば抗がん剤など)が選択されることもありますが、手術が可能であれば腫瘍を切除する方法がもっとも治癒に結びつく治療法と言えます。
 当院では年間およそ30例の肝切除を行っています。肝臓の手術は一般に難易度が高く出血などのリスクが高いと言われますが、私たちには十分な技術の裏付けと経験があります。
 近年、私たちは腹腔鏡下肝切除に力を入れており、最近では肝切除のおよそ70%を患者さんにとって負担の少ない腹腔鏡手術で行なっています。2017年には亜区域切除以上の系統的腹腔鏡下肝切除術の施設認定を取得し、ほぼ全ての術式を腹腔鏡下に行う資格を得ることができました。この資格を持って難易度の高い腹腔鏡下肝切除を行うことができる施設は愛知県下でも数えるほどしかありません。腹腔鏡下肝切除は、開腹手術に比べ驚くほど傷が小さく、受けられた患者さんの多くが、早期に社会復帰しておられます。
 肝のう胞に対する手術も腹腔鏡を用いて積極的に行っています。肝のう胞はよく見かける疾患で多くは良性であるため、通常は治療の必要がないのですが、大きくなるとおなかの他の臓器を圧迫して症状がでることがあります。こうした場合、手術によってのう胞の壁の一部を切除して、肝臓の中に液体がたまらないようにする治療(開窓術といいます)が必要となる場合があります。
 私たちは肝のう胞に対して腹腔鏡によって開窓術を行うことで、患者さんの体に負担をかけることなく症状の改善につなげています。全ての患者さんにこの手術が行えるわけではありませんが、肝のう胞でお悩みの方はぜひ当科にご相談ください。

⑤ 膵臓がんおよび胆道がん(胆嚢がん、胆管がん)について
膵臓がんや胆道がんの手術は難易度が高いことで知られます。特に膵頭部と呼ばれる領域(膵臓の十二指腸側)の手術は多くの臓器や血管を扱う必要があり、切除した後の再建(消化管などの吻合)も複雑です。
 私たちはこれらの疾患に対しても年間20例前後の手術を行い、地域のみなさんが地元にいながらにして高度な医療が受けられるよう努めています。
 特に膵臓がんは今だに治りにくい病気の一つですが、手術前後に抗がん剤治療を組み合わせることで、以前よりも高い治癒率を目指しています。もちろん、患者さんの状況によっては、名古屋大学消化器外科とタイアップして治療を行うことも可能です。
 膵臓の腫瘍の中でも良性もしくは比較的悪性度の低い腫瘍については、腹腔鏡下手術の適応も検討します。現在のところ、膵体尾部(膵臓の脾臓側)のみの切除に限りますが、2017年は7例の腹腔鏡下膵切除術を行い、お腹を大きく開けることなく病気を克服していただいています。

⑥ 胆石症について
胆石症は私たちが日常的によく経験する疾患の一つで、時に激しい腹痛や発熱の原因になります。
 胆石症に対する最も根本的な治療は、手術によって胆嚢と胆石とを切除することです。胆嚢を取ってしまっても日常生活にほとんど支障がないとされます。
 胆石症に対する胆嚢摘出術は、ほとんど腹腔鏡を用いて行われます。2017年に当院では130人の患者さんに胆嚢摘出術を行いましたが、そのうち92.5%にあたる120人の患者さんは腹腔鏡によって小さな傷で病気を克服されています。ただし、以前に開腹術を受けられた方や胆嚢炎を何度も起こされた経験のある方は、腹腔鏡下手術が困難な場合もありますので、まずはご相談ください。

⑦ 急性虫垂炎について
虫垂炎は、一般に「盲腸」と呼ばれる病気で、腹痛の原因の代表格と言えますが、実際に炎症が起こっている場所は、「盲腸」ではなく、そこから垂れ下がっている虫垂と呼ばれる部位です。
 以前は虫垂炎が疑われると緊急手術を行うことが多かったのですが、多くの場合、抗生剤の投与により炎症を抑えることが可能であるため、症状や状況に応じた対応が可能になっています。
 当院ではほとんど全ての虫垂切除術を腹腔鏡で行なっています。腹腔鏡の場合、カメラを用いてお腹全体が観察できるので、従来の開腹手術よりも視野が良好ですし、傷が虫垂から離れているので、腹膜炎になっていた場合でも、傷が膿んでしまうことはほとんどありません。また、一旦抗生剤で炎症を抑えた後に待機的に虫垂切除を行う場合、ほとんど合併症を起こすことなく2泊3日での退院が可能です。

⑧ そけいヘルニアについて
そけいヘルニアは、「脱腸」と呼ばれる病気で、その呼び名からは、腸の病気のように思われがちですが、足の付け根(そけい部)のお腹の壁(腹壁)が弱くなって、皮膚のすぐ下のところまで腸などが飛び出してくる腹壁の病気です。
 そけいヘルニアはタイヤのパンクのような状態なので、修理、つまり手術が必要です。放っておくと、時に嵌頓と言って腸管が飛び出したまま戻らない状態になって、腸閉塞や腹膜炎の原因にもなりかねません。早めに病院にかかられるか、かかりつけ医にご相談ください。
 そけいヘルニアの手術には、腹腔鏡下手術と従来法の大きく2通りありますが、近年では腹腔鏡下手術が主流となってきています。
 腹腔鏡下手術では臍の周囲の3つの小さな穴から操作して腹壁の弱くなっているところに、中から人工補強シートを当ててきます。従来法に比べ、術後の痛みが少なく、早い回復が期待できます。この手術は全身麻酔で行います。
 従来法ではそけい部に5〜6cmの傷を開けて、人工補強材料を当てます。局所麻酔で行うことができるため、心臓や肺の機能が十分ではない、ご高齢の患者さんにも手術を行うことが可能です。
 いずれの場合も入院は2泊3日程度です。お気軽にご相談ください。

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手術について

 2019年の手術件数は、総数990件、全身麻酔824件であり、その内訳は、以下の表の通りでした。
 「がん」を中心に多くの手術が行われており、とりわけ難易度の高い、高難度外科手術も多数行われています。ただ、私たちはその件数に満足することは決してありません。大切なことは、その手術経験を次の手術に生かし、明日の患者さんにより質の高い良い医療を実践することだと、私たちは考えています。
 近年、私たちは積極的に腹腔鏡下手術、さらにはロボット支援手術の導入および定型化を進めています。こうした取り組みは、患者さんの術後の傷の痛みを軽減するだけでなく、手術の「見える化」により、その一部始終をスタッフ全員で共有することが可能となり、医療スタッフ一人一人が、より安全で質の高い手術手技を目指す意識にもつながっています。
 新しい手術の導入にあたっては、院内の委員会で妥当性を検討するとともに、全てのスタッフがその治療法を理解するための学習会を開くなどの取り組みにより安全に行っています。また、こうした技術が確実に若手外科医に継承されるよう、手術ビデオの共有化、カンファレンスでの振り返り、ドライラボ(手術手技の練習器具)の活用、他施設への手術見学や研修などを通じて、チーム一丸となって取り組んでいます。
 さらに、必要に応じて名古屋大学附属病院やその他の専門病院とタイアップし、地元の患者さんのニーズに応えられるよう努めています。

手術実績(2019年1月-12月)


疾病種別 総数 腹腔鏡 腹腔鏡率(%)
甲状腺・副甲状腺手術
胃がん手術 58 26 45
結腸がん手術 72 37 52
直腸がん手術 30 24 80
乳がん・乳腺腫瘍手術 130
肝がん・肝転移・肝腫瘍手術 21 12 75
膵がん・膵腫瘍手術 11
胆管がん・胆のうがん・乳頭部癌 11
副腎手術 100
胆のう手術(良性) 138 125 91
鼠径・大腿ヘルニア(小児含む) 161 98 61
虫垂炎手術 63 58 92
腸閉塞手術 27 26
消化管穿孔手術 32 25
その他 239
全身麻酔手術 824
その他 166
総手術件数 990
 

 

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当科で治療をご検討されている皆様へ

当科では、クリニカルパスを積極的に導入することで、患者さんを中心とするチーム医療の実現、安全かつ質の高い医療の提供を目指しています。
クリニカルパスとは、ある病気の治療や検査に対して、標準化された患者さんのスケジュールを表にまとめたもので、1つの治療や検査ごとに1つずつ作られています。
クリニカルパスには、病院用と患者さん用があり、患者さん用クリニカルパスには、患者さんが入院してからの食事や処置、検査・治療、そのための準備、退院後の説明等が日ごとに詳しく説明されています。
治療を受けられる多くの患者さんにはクリニカルパスの計画に沿って入院生活を送っていただいています(病気の内容や患者さんの状態によっては適応されない場合もあります)。
当科で実際に使用されている患者さん用クリニカルパスはこちらで紹介しています。
当科での治療をご検討されている患者さんやすでに治療が予定されている患者さん、そしてその入院生活をご支援いただくご家族の方々におかれましては、ぜひご参考にされ、少しでも安心して治療に向かわれることを心より願っています。

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診療ガイドラインについて

診療ガイドラインは、科学的根拠に基づき、系統的な手法により作成された推奨を含む文書です。患者と医療者を支援する目的で作成されており、臨床現場における意思決定の際に、判断材料の一つとして利用することができます。
私たちは、医療の質の向上と標準化のため、診療ガイドラインを最大限活用しています。ただし、ガイドラインに示されるのは一般的な診療方法であるため、必ずしも個々の患者さんの状況に当てはまるとは限りません。臨床現場においての最終的な判断は、主治医と患者さんが協働して行わなければならないことをご理解ください。
医療情報サービス事業Minds(マインズ)では、日本で公開された診療ガイドラインを収集し、評価選定の上、Mindsホームページ上に順次掲載しています。また、一般向けの解説等、診療ガイドライン関連情報の提供も行っています。是非、ご活用ください(日本医療機能評価機構ホームページより引用しています)。

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術前経口補水療法について

当院では、術後早期回復プログラム(ERAS)の一環として、術前経口補水療法を積極的に取り入れています。
これは、手術を予定している患者さんに、手術時間の2時間前まで経口補水飲料を飲んでいただき、のどの渇きや空腹感を軽減するものです。
以前、手術(特に全身麻酔手術)を受けられる患者さんの多くは、手術前に長い時間、水分や食事をとることを禁止されていました。これは、麻酔の際に胃の中に摂取したものがたまっていると、麻酔の際に吐いたりする危険性を考えてのことでしたが、絶飲食になった患者さんは、水分を飲んでいただく代わりに点滴が行われ、喉の渇きについては我慢していただくしかありませんでした。
しかし、近年、特定の飲料水であれば手術の2時間前まで飲んでいただいても安全に麻酔がかけられることが明らかになってきました。また、長時間の絶飲食は、かえって術後の回復を妨げてしまうという報告もあります。
そこで、私たちは、手術を予定されている患者さんが手術前の最後の食事をとられた後、いくつかの経口補水飲料をお渡ししています。これらは、手術の2時間前まで飲んでいただくことができ、のどの渇きや空腹感を軽減していただくことができます。また、経口補水飲料は点滴と同じ効果がありますので、手術前に点滴を行う必要がありません。つまり、手術室へは手ぶらで歩いて入っていただくことができます。
実際に手術を受けられた患者さんからは、おおむね好評をいただいておりますし、私たち医療者にとっても点滴が抜けてしまったり、手術前に患者さんが転んでしまったりといった心配が少なくなりますので、医療の安全につながる意味でも高く評価されています。
ただし、病気や手術の内容によっては、術前経口補水療法を受けていただくことができない場合があります。詳しくは、担当の医師、看護師までお尋ねください。

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臨床研究に関するお知らせ

一宮市立市民病院外科では、病気で困っている患者様の治療法を向上させるため、さまざまな臨床研究を行っています。今回下記の研究1件を行いたいと考えています。研究を行うにあたっては、対象となる方が特定できないよう、個人情報の保護には十分な注意を払います。もしも下記の研究内容に該当すると思われた方で、ご自身の検査データなどが用いられることにご質問などのある方は、下記の連絡先にご連絡ください。

  1. 研究課題名
    「腹腔鏡下肝切除術の安全性に関する検討 ~後ろ向き多施設共同研究~」
    研究者氏名:
    主任研究者
    窪田 敬一(獨協医科大学 第二外科 教授)
    研究者
    青木 琢(獨協医科大学 第二外科 学内教授)
    下田 貢(獨協医科大学 第二外科 学内准教授)
    加藤 正人(獨協医科大学 第二外科 学内講師)
  2. 研究の概要
    1. 目的 症例調査票を用いて腹腔鏡下肝切除術の安全性を多施設共同研究により評価することです。
    2. 方法 カルテに記載された情報を基に、治療開始前情報、手術終了時情報、退院時情報、90日以内の再入院情報を調査票にて調査し、手術の安全性を評価します。 (シェーマ)
    3. 対象 2015年12月以前に、当院外科において、腹腔鏡下肝切除を受けた方全員が対象となります。
    4. 被験者の実体験 本研究は、過去に行われた画像を用いた診断、手術記録、入院カルテや外来カルテの記録をもとに行われる後ろ向き解析であり、対象となった方に新たな検査や治療が本研究のために行われることはありません。
  3. 研究が行われる機関または実施場所
    獨協医科大学病院および肝臓内視鏡外科学会参加施設で行われます。
  4. 研究における倫理的配慮について
    人権への配慮(プライバシーの保護)
    本研究実施に係る原資料類および同意書などを取り扱う際は、被験者の秘密保護に十分配慮いたします。病院外に提出する報告書、学会発表、学術論文においては、被験者を特定できる情報を含めません。もしもこのホームページで公開した本研究内容をご覧になり、研究対象となることに同意されないと連絡された方は研究対象には含めません。被験者ご本人またはご家族の中で、本件にご質問のある方は下記にご連絡くださいますようお願いいたします。 研究対象となった方は今後もこの研究のために新たに治療や検査を受けることはなく、医療費がかかることはありません。また研究協力に対して謝礼が支払われることはありません。
  5. 本研究に関する連絡先
    〒491-8558 愛知県一宮市文京2-2-22
    一宮市立市民病院
    外科 阪井 満
    電話番号:0586-71-1911

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専門医制度と連携したデータベース事業について

私たちは、「一般社団法人 National Clinical Database」によるデータベース事業を通して、患者さんにより適切な医療が提供できる社会を目指しています。詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。

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