循環器内科

 

循環器内科とは

狭心症、心筋梗塞(急性期、慢性期を問わず)などの虚血性心疾患、弁膜症、成人の先天性心疾患、心筋疾患、心膜疾患、心不全、高血圧性心疾患、不整脈など心疾患のすべてを対象とします。特に虚血性心疾患では、その原因である高脂血症や糖尿病などの治療もしております。また、心房細動が原因となる心原性脳塞栓症の予防の為の治療も行っております。その他にも、大動脈解離、大動脈瘤などの大動脈疾患、閉塞性動脈硬化症、腎血管性高血圧等の末梢動脈疾患、肺塞栓、下肢深部静脈血栓症等、心血管系の疾患すべてを診療対象にしています。
メタボリックシンドロームが話題になりましたが、メタボリックシンドロームでは、心筋梗塞の可能性が10から30倍になるといわれております。生活習慣(食生活など)の変化から気づかない間に動脈硬化が進行している場合が多いのです。高血圧・肥満・糖尿病・高脂血症などの治療を受けている方の中にも自覚症状のないままに動脈硬化が進行している場合が少なくありません。そこで、当院では、患者さんの負担が少ない心臓CTを積極的に用い、動脈硬化の程度を正確に把握したうえで、予防・治療に積極的に取り組んでおります。
受診される前から病名が分かっているわけではありませんので、病名を列記しても戸惑われる方が多いと思います。実際に受診される患者さんは、動悸・息切れ・胸痛・眩暈等の症状が多いようですが、少しでも心臓について不安があるのであれば、御相談下さい。月曜日から金曜日まで新患外来を行っております。新患外来は、必ず、日本循環器学会専門医が対応しております。

※ 心血管内治療の充実について

心血管内治療は、主に狭心症・心筋梗塞に対する経皮的冠動脈形成術や、不整脈に対するアブレーションといったカテーテル治療やペースメーカー植え込み術などに取り組んでいます。愛知県立尾張病院、愛知県立循環器呼吸器病センター、そして一宮市立市民病院に統合、と変遷してまいりました。この貴重な経験で培った知識と技術を活かし、 さらに良質な循環器医療を提供したいと考えております。
院外心停止症例に対しても、経皮的心肺補助装置(PCPS)や脳低温療法などの高度な医療を用いて積極的に取り組み、その蘇生率の向上を目指しております。
カテーテルを用いた大動脈弁置換術(TAVI)は、2019年に西尾張地区ではじめて当院で導入されました。現在も順調に症例数を積み重ねています。

また、上記の治療ばかりでなく、リハビリテーション、栄養指導や服薬指導、退院後のケア、予防医学など総合的で多角的な医療に取り組んでおります。
心血管内治療では、医師・看護師・薬剤師・臨床工学技士・放射線技師・検査技師などの幅広い職種のスタッフが医療チームを形成し、一丸となって患者さんに正確な診断・最適な治療を提供し、笑顔で退院していただくことを最大の目標としております。

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24時間365日体制

循環器内科医は、24時間365日


心筋梗塞など心臓血管は、場合急激に発症し、時間との勝負です。どれだけ早く治療ができるかが勝負です。決して極端な話ではなく、5分が生死を分けることがあります。当院では、循環器疾患に迅速に対応すべく循環器内科医が24時間365日病院に常駐する体制を整え、これまで継続してきました。救急外来や一般外来で循環器内科医が対応し、必要に応じて心臓血管外科・血管外科へとバトンをつなぎます。
入院していただいた患者様に対しても、24時間365日は重要でです。循環器医が24時間365日病院に常駐し、予測不能な循環器疾患に対して、即座に対応することができます。このような時に、循環器医がすぐに対応できる施設とそうでない施設では、自ずと結果もかわってくると思います。循環器医が院内にいたからこそ、すぐに対応でき、無事退院できた患者様を今まで何人もいらっしゃいます。
当院で継続することが可能であったのは、循環器内科医だけではなく、心臓外科チームをはじめ、看護師、臨床工学士、放射線技師などの協力があったからこそで、我々と共に医療にかかわる多くのスタッフの想いが結実した結果であり、今後とも大切にしていきたいと考えております。

地域の医療を支える先生・看護師・ケアマネージャーにとっても、24時間365日体制は後方の安心になるものと考えております。
循環器内科には直通の電話回線があります。病診連携室にご確認いただき、緊急の際には(結果として、緊急でなかったとしてもかまいません)、ご連絡ください。

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循環器内科 外来診療医担当表

休診日:土・日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
受診受付時間 :午前8時~11時15分(全科)  ※ただし、急患の方は、随時受付いたします。

循環器内科
外来診療医担当表はこちら

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スタッフ紹介

氏名 志水 清和
職名

副院長
循環器センター長
患者サポートセンター長

資格・専門領域等

資格:
医学博士
日本循環器学会専門医
日本救急医学会専門医
日本集中治療医学会集中治療専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本心血管インターベンション治療学会指導医
植え込み型除細動器・両心室ペースメーカー認定医
日本救急医学会ICL認定コースディレクター・インストラクター
JMECCインストラクター
専門領域:
心血管内治療 循環器疾患
氏名 浅井 徹
職名 循環器内科部長兼不整脈科部長

資格・専門領域等

資格:
医学博士
日本循環器学会認定循環器専門医
日本内科学会認定内科医
植え込み型除細動器・両心室ペースメーカー認定医
日本不整脈心電学会認定 不整脈専門医
専門領域:
不整脈治療、循環器疾患
氏名 石黒 久晶
職名 心血管内治療部長

資格・専門領域等

資格:
日本循環器学会認定循環器専門医
日本内科学会認定内科医
日本心血管インターベンション治療学会専門医

専門領域:
氏名 大橋 雅子
職名 医長

資格・専門領域等

 

資格:
医学博士
日本循環器学会認定専門医
日本内科学会総合内科専門医

 

氏名 杉浦 剛志
職名 医長

資格・専門領域等

 

資格:
日本循環器学会認定専門医
日本内科学会認定医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
 
氏名 梅本 紀夫
職名 医長

資格・専門領域等

 

資格:
日本内科学会認定医
日本循環器学会専門医

 

氏名 澤村 昭典
職名 医長

資格・専門領域等

資格:
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器病学会循環器専門医
日本医師会認定産業医
氏名 永井 博昭
職名 医長

資格・専門領域等

 

資格:
氏名 田代 詳
職名 医長

資格・専門領域等

資格:
日本循環器学会認定循環器専門医
日本内科学会認定内科医
 
氏名 梶浦 宏紀
職名 医員

資格・専門領域等

 

資格:

 

氏名 富田 将史
職名 医員

資格・専門領域等

 

資格:

 

 
氏名 瀧川 聖矢
職名 医員

資格・専門領域等

 

資格:

 

 
氏名 竹本 賢人
職名 医員

資格・専門領域等

 

資格:

 

 
氏名 岡田 太郎
職名 非常勤医師

資格・専門領域等

 

資格:
日本循環器学会専門医
日本内科学会認定医
氏名 安田 信之
職名 非常勤医師

資格・専門領域等

資格:
 
氏名 墨 卓哉
職名 非常勤医師

資格・専門領域等

 

資格:

 

 
氏名 窪 友理
職名 非常勤医師

資格・専門領域等

 

資格:

 

 
氏名 山田 道治
職名 非常勤医師

資格・専門領域等

 

資格:

 

 

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当院循環器内科について

当院は平成22年より愛知県立循環器呼吸器病センターと統合いたしました。それから長い時間が経過いたしました。
当院では、根拠に裏付けられた治療を念頭に、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本のガイドラインを遵守し治療方針を立てております。診断は、患者様のriskを十分に検討し、不必要な検査を除外できるよう努力しております。
治療に関しては、ガイドラインの順守はもちろんのこと、患者様特有の背景を十分吟味し、危険性/有用性のバランスを検討し、治療に取り組みます。
循環器疾患においては、「狭窄があるから拡張する」や「不整脈があるから治療する」など、安易な治療方針は不利益が多い場合があります。患者様に不利益がないように、ガイドラインに従った治療を心がけております。

当然のことですが、『病気を診るのではなく、病人を診る』をモットーにしております。患者さん、御家族とともに病気と向き合うことを方針としております。医療の根源は、患者様及び御家族の方との信頼関係です。
したがって、病気について十分理解していただくことが、我々の最も大切な責務であると考えており、様々な御要望や御質問に応えるよう努めております。

循環器疾患は急性疾患という印象が強いと思います。実は、循環器疾患は長く、継続的に治療を要するものが多いのです。安定した状態を長く続けるかが重要であり、長年にわたり患者様をサポートできるように地域の先生方に御指導いただきながら、綿密な病診連携をはかっております。

質の高い医療が求められるのは当然のことです。東海地区有数の症例を経験し、それぞれに真摯に向き合うことで、日々研鑽しております。それらの経験から得た知見を発信し、積極的に学会発表を行い絶えず自分たちの医療内容を検証し、決して自らの実績に溺れることなく、より質の高い医療を追求する姿勢を見失わないように努めております。

診療実績

    2018年 2019年 2020年      
検査 冠動脈造影 (CAG) 655 712 664      
  心臓超音波検査 6880 7626 7323      
  心臓シンチグラフィー(SPECT) 794 911 839      
  冠動脈CT(CCTA) 785 919 823      
治療 経皮的冠動脈形成術 (PCI) 432 403 440      
  カテーテルアブレーション 156 180 190      
  ペースメーカー 101 92 104      
  植込み型除細動器 23 35 24      
  心臓再同期療法(CRT) 18 16 29      
  経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI/TAVR)   16 49      
  経皮的弁形成術(BAV) 9 14 28      
補助循環 経皮的心肺補助(PCPS) 20 15 24      
  IMPELLA® 1 20 14      
  脳低温療法 14 17        

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① 虚血性心疾患

虚血性心疾患とは
心臓が正常に動くために必要な、酸素やエネルギーを供給する栄養血管である冠動脈が、動脈硬化などによって狭窄、閉塞して起きる病気を虚血性心疾患といいます。このうち、血流不足により、主に体を動かした時に5〜10分程度の発作が起きるものを狭心症、心臓が壊死するほど血流が足りなくなると心筋梗塞といいます。

症状
狭心症は典型的には体を動かした時に、胸が痛くなります。心筋梗塞の場合は、より強い症状が安静時に長く続きます。しかし、非典型的な症状(肩や首、歯の痛みなど)を感じる場合も多くあり、高齢の患者さんや、糖尿病、腎不全を患っている方は、自覚症状がほとんどなく、検査で偶然発見される場合もあります。自覚症状が軽い場合や無い場合でも、危険性は同じくらいありますので、適切な診断と治療が必要です。

診断方法
以前は冠動脈の狭窄を画像で評価するには、心臓カテーテル検査を行わなければいけませんでした。今では日帰りでもカテーテル検査ができるほど安全で、患者さんの不快感を伴わない検査になってきました。しかし体内に管を入れる必要がありますので、患者さんにとってはあまりやりたくない検査でしょう。15年ほど前から、冠動脈C Tで冠動脈を評価できるようになり、カテーテル検査を必要としない場合が多くなりました。冠動脈C Tには主に、64列、128列、256列、320列があります。C Tの弱点として、心房細動などの不整脈をお持ちの患者さんや、息留めが上手く出来ない方、硬い動脈硬化(石灰化)がある血管では、画像が乱れてしまい、評価ができない場合がありました。しかし、当院のC Tは256列のデュアルエナジー(G E社 Revolutionシリーズ)を導入しています。この機種では特殊な撮影方法によって、上記のような患者さんでも問題なく評価することができます。
その他にも、心筋シンチ、運動負荷心電図など、外来でできる虚血性心疾患の検査の選択肢がありますので、それぞれの患者さんにあった検査の説明を受けた上で、選ぶことができます。

治療
内科、というと、薬を使った治療をするお医者さん、というイメージがあるかも知れませんが、心臓や血管の内科である循環器内科では、カテーテルを用いた手術を行なっています。当院では、硬い動脈硬化(石灰化)を削って広げるローターブレーター、血栓や石灰化を蒸散させることができるエキシマレーザーなど、治療難易度が高い病変に対して有効なデバイスも取り揃え、豊富な経験で安全に治療を行なっています。

② 不整脈

はじめに
心臓は規則正しく収縮し全身に血液を送り、これを私たちは「規則正しい脈」として感じています。不整脈とは何らかの原因で脈が乱れることを意味します。不整脈には大きく分けて異常に速い脈(頻脈)と遅い脈(徐脈)があります。この異常な脈によって、動悸(胸がドキドキする、脈がとぶ)・ふらつき・息がきれるといった症状がもたらされ、重症なものでは生命を脅かすものもあります。
これら不整脈を正確に診断し、必要に応じて治療を行います。初診時には時間をかけて問診を行い、なるべく体に負担のかからない検査で診断をはかります。
不整脈による症状は大きな不安感をもたらします。私たちはこうした不安を取り除くべく、丁寧な説明を心がけていますいます。
当科の特色
近隣のクリニックや病院と連携し、不整脈にかかわる通院・入院治療を行っています。頻脈性不整脈に対する治療であるカテーテルアブレーションは、3次元マッピングシステムを用いて行います。特に心房細動の治療では、ここ数年でクライオバルーンやホットバルーンを多く用いることにより、安全かつ迅速な手術が可能になりました。
また徐脈性不整脈に対する新たな治療として、完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)やリードレスペースメーカ移植にも積極的に取り組んでいます。
当院では手術中の麻酔法を工夫することにより、苦痛のない手術をこころがけています。また、手術前後の説明に多くの時間を割き、不安をできるだけ軽減するよう努力しています。

対象疾患
〇頻脈性不整脈
・心房細動/心房粗動/心房頻拍
・発作性上室性頻拍
・WPW症候群
・心室頻拍
・期外収縮
〇徐脈性不整脈
・洞不全症候群
・房室ブロック
・徐脈性心房細動

診断法
・ホルター心電図(24時間)
・運動負荷心電図
・イベントレコーダ
・心臓電気生理学検査
・植込み型心電モニタ(ICM)

治療法
・薬物治療
・経皮的カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)
・ペースメーカ移植(リードレスペースメーカ含む)
・植込み型除細動器移植(S-ICD: 完全皮下植込み型ICD含む)
・心臓再同期療法(CRT-P、CRT-D)

③ 心不全(心臓リハビリテーション)

心不全とは
2018年のデータでは、日本人の17%の方は心疾患で亡くなっており、日本人は心臓で亡くなる方が最も多いことがわかっています。心臓の様々な疾患は、最終的に心不全になってしまうことから、心不全の治療をすることが重要となっています。
では、心不全とはどんな病気でしょうか。心不全とは、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と言われています。心不全になる原因は多種多様であり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病が原因で心不全になることもあれば、特に原因が無いにも関わらず、心臓の働きが悪くなってしまう方も多くみえます。

心不全の診断と治療
心不全の原因によって治療法も変わるため、原因をしっかりと診断することが、その後の治療にとって非常に重要となります。
当院では、CT、MRI、シンチグラムといった様々な検査機器の他、心臓カテーテル検査や心筋生検などを積極的に行い、心臓の状態、心不全の原因をしっかりと診断する診療体制を敷いています。そして、確実な診断の後に、個人個人に合わせた最適な治療を行っています。

心臓リハビリテーションについて
「リハビリ」というと、運動をして体力を回復するイメージがあると思います。しかし、心不全における「心臓リハビリ」は、運動だけでなく、栄養や生活習慣、精神的なサポートを包括的に行うことを指しています。
運動に関して、中には「心臓が悪いのに運動をしていいのか?」と思われる方もいるかもしれません。もちろん、無理な運動は心臓にとって負担となり、病状を悪化させます。しかし、運動をせずに全身の筋力が衰えると、心不全も悪化することがわかっています。適切な体力を維持することは心不全の治療にとって非常に重要です。このため、当院では医師・理学療法士監視のもとで、心不全の方に対して体力測定(心配運動負荷試験)を行い、個人個人でどの程度の運動が適しているのかを確認しながら運動のメニューを提示しています。
食事に関しては、太り過ぎも痩せすぎも良くなく、適切なカロリーを摂ることが重要です。それに加えて、塩分の摂りすぎは心臓の負担となるため、1日6g程度の塩分に抑えることが重要とされています。しかし、自分にとってどの程度のカロリーが適切なのか、1日6gの塩分の食事とはどんな食事なのかは、普通ではなかなかわかりません。そのため、当院では専門の管理栄養士が、それぞれの患者さんにとって最も適切な食事の採り方を個別にアドバイスしながら、心不全の治療を行っています。
心臓が悪くなると、将来の自分の病状に関して、不安を感じる方も多く見えます。そんな場合には、臨床心理士がカウンセリングなどを通しての精神的なサポートを行っています。

④ 心構造疾患治療(TAVI・PTSMA)

TAVIとは?
大動脈弁狭窄症という心臓の弁膜症の治療法です。大動脈弁の病気を根本的に治療する方法は現在のところ人工弁に置き換える弁置換術以外にありません。以前には外科的に開胸して手術する方法しかなく、高齢などの理由で手術困難なため根本的な治療をあきらめるしかない患者さんも多くいました。しかし、血管内に挿入するカテーテルで自分の大動脈弁まで人工弁を運び置き換える手術法であるTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)が開発され、これまで外科的な手術が困難であった患者さんにも治療が可能となりました。

大動脈弁狭窄症とは?
心臓は皆さんもご存じのように体に血液を送るポンプの働きをしています。
血液は心臓から大動脈に出て、体のすみずみまで送られます。しかし、そのままでは送られた血液は大動脈から心臓に逆流してしまいます。そこで送られた血液が心臓に逆流しないようにするための扉が「弁」と呼ばれる構造です。心臓の中にはこのような「弁」が4つありますが、心臓から大動脈への出口にある扉が「大動脈弁」です。
この「大動脈弁」は残念ながら長年使用していると傷んで動きが悪くなってしまいます。いままで全開で開いていた扉の動きが悪くなり開かなくなってしまうと出口が狭くなり血液が出にくくなります。これを「狭窄」といいます。これにより症状がでてくると「大動脈弁狭窄症」となります。

どのような治療方法があるのか?
大動脈弁狭窄症の治療方法は大きくわけて3つあります。
①薬物治療
内服や点滴薬での治療です。症状の改善を得ることができますが、予後(余命)の改善は得られません。根本的治療ではなく、あくまで対症療法となります。
②外科的大動脈弁置換術
胸を開いて、心臓を停止させた状態で自己弁を切除し人工弁を縫い付ける手術です。直接的に手で触って手術するため、カテーテル治療に比べ確実性が高い手術となりますが、体にかかる負担が大きくなります。
③経カテーテル大動脈弁置換術
足の付け根の血管からカテーテルを挿入して自己弁の内側に人工弁を運び圧着させる手術です。体に対する負担が小さいため体力の低い患者さまにも可能となりますが、致命的合併症が起こった場合には緊急の外科的手術が必要となる危険があります。



原則的には外科的手術が第一選択となりますが、外科的手術の危険が大きい場合にはカテーテル手術を選択することになります。

どのような症状がでるのか?
大動脈弁狭窄症では、心臓の出口が狭いために症状がでてきます。
以下の3つの症状が代表的です。
①胸痛(狭心症)
心臓には大きな負担がかかり、心臓そのものを栄養する血液が不足してしまうため胸が締め付けられるような症状(狭心症)をおこします。



②めまい・気を失う(失神)
脳の血流を維持できず、めまいを起こしたり気を失ったりします。この失神はしばしば失禁をしたり、倒れた拍子に頭部などをぶつけて大怪我をすることがあります。



③息切れ、むくみ(心不全)
心臓の働きが限界となり、体への血流が不足し息切れがしたり、血液のうっ滞がむくみを起こしたりします。急激に悪化した場合には肺の中に水があふれ呼吸困難となることがあります。



このような症状が出現した場合、予後(余命)は著しく悪化します。
具体的には狭心症症状が出現した場合は予後5年程度、失神を起こすと予後3年、心不全を起こすと予後2年と言われ、1年以内の突然死の可能性が20%あると言われています。
これらを回避するためには、弁置換術しか方法はなく、薬物治療では予後を改善することはできません。

どのような患者が対象になる?
大動脈弁狭窄症による症状がある患者さんが適応となります。ただし、透析患者や余命が1年未満と診断されている患者さんは保険治療の適応となりません。

ハートチーム/弁膜症チームとは?
複雑な重症弁膜症の患者さんの治療適応決定は、循環器内科医と心臓外科医を中心に構成される弁膜症チームで行われるべきであるとされています。
たとえば高齢の弁膜症疾患の患者さんでは、手術適応などに対して、重症度、年齢、総合的な体力、認知症の程度、併存する疾患などから考えられる手術の危険性、予想される治療効果、予後などを弁膜症チームで協議し、その結果を患者とその家族に対し十分説明をすることが必要です。
当院では循環器内科医、心臓外科医、血管外科医、麻酔医、看護師、臨床工学技士、超音波検査技師、放射線科技師、理学療法士、薬剤師などを含む弁膜症チームが患者さんの治療方針について検討しています。

PTSMAとは?
閉塞性肥大型心筋症に対するカテーテル手術です。他の治療(薬物治療、ペースメーカー治療など)での治療効果が十分ではない場合、肥大した心筋による症状の改善のため外科的治療の代わりに行われます。外科的治療と同様の治療効果が得られ、体への負担も小さいため治療の選択をされることが増えています。

閉塞性肥大型心筋症とは?
心臓の筋肉が病的に肥大してしまう肥大型心筋症のうち、心臓の出口をふさいでしまい体に血液を送ることを邪魔してしまうものを閉塞性肥大型心筋症と呼びます。肥大型心筋症の原因は遺伝性の原因が判明しているものもありますが、原因不明のものもあります。不整脈の合併も多く、致命的な不整脈の発生により突然死を起こすこともあります。
症状としては胸の痛みや、動いた際の息切れ症状、動機などを感じますが加齢とともに進行した場合、体力の低下などを年齢の問題と思い病気の症状と感じていないこともあります。


実際に治療はどうするのか?
治療の基本は薬物治療となります。ただし現在のところ病気を根本的に治療できる薬剤などはありません。病気の進行を遅らせることや症状の改善を目的とした薬物治療が中心となりますが、閉塞性肥大型心筋症で通常の薬物治療で症状が改善しない場合は他の治療方法を考えます。
①ペースメーカー手術:ペースメーカーによる電気刺激で心臓を収縮させることで、心臓の出口をふさぐタイミングを遅らせ血液が出ていきやすくする方法です。しかし、効果がない場合もあり通常は手術の前に効果判定をしてから適応を考えます。
②外科的中隔心筋切除術:外科的に肥大心筋の切除をする手術です。心停止および体外循環が必要であり侵襲度の大きい手術となります。以前には高齢者以外は第一選択肢となっていましたが、現在では若年から青壮年の患者さんが対象となります。
③PTSMA(経皮的中隔心筋焼灼術):
肥大心筋の栄養血管に無水エタノール(いわゆるアルコール)を注入して標的とする心筋を焼灼します。焼灼された領域の心筋は壊死するため、収縮しなくなり、長期的には小さくなるため心臓から血液が出やすくなります。
院内死亡率1~2%、追加PTSMAが必要となる可能性が5~15%、ペースメーカー移植が必要となる可能性が10~30%となりますが5~10年の生存率は80~95%と外科的治療と比較しても成績は悪くなく侵襲は低いため、近年は65歳未満の中高年者でも治療選択肢として検討されています。

⑤ 慢性下肢閉塞性動脈硬化症

慢性下肢閉塞性動脈硬化症とは
足を栄養する動脈の狭窄、閉塞により、血流が足りなくなって様々な症状が出たり、壊死(血流不足により腐ること)が起きたりする病気です。原因は動脈硬化ですので、狭心症と同じく、糖尿病、高血圧、高脂血症などの持病がある方や、タバコを吸う方は、この病気になりやすくなります。また、動脈硬化は全身同時に進行しやすいので、狭心症と慢性下肢閉塞性動脈硬化症の両方が発症してしまう方も多く見られます。

症状
冷感やしびれ感、跛行(歩くとふくらはぎなどがだるくなること)で発症します。整形外科の病気(腰のヘルニアや脊柱管狭窄など)でも似た症状になりますし、年齢のせいだと諦めてお医者さんに相談されていない場合が多い病気です。実際、この病気の専門家である医師でない場合、見過してしまう場合も多く、疑わなければ診断が遅れてしまいがちです。治療が遅れた場合は、安静時の長く続く痛みが起きて、さらに進行すると5〜10%程度の方は壊死に進行し、足の切断が必要となります。足の症状があれば、原因が血管かどうかわからない場合でも、まずは循環器内科でご相談ください。

診断
A B Iという、手足の血圧を同時に測る簡単な検査で、ある程度血管の詰まりや硬さを調べることができます。相談した当日にできるので、まずはこの病気の“疑わしさ”がわかります。疑わしければ、C T、M R I 、超音波エコーなどで診断します。

治療
当科では、カテーテルで治療を行なっています。複雑で難易度が高い場合が多いので、東海地区では限られた施設でしか質の高い治療を行うことができません。当院では、血管外科と協力して、バイパス手術とカテーテルのどちらが患者さんにあった治療か評価し、最適な治療を提供する体制が揃っています。

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